LAUGHIN'NOSE


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LAUGHIN'NOSE

95年1月、ラフィン・ノーズがチャーミー(Vo)とPON(B)により突如復活した。こんなことをだれが予想出来ただろう、その吉報に驚いた者は多いはずだ。新宿ロフトでのライブで、約4年ぶりにファンの前に姿を見せ、4月にはラフィン・ノーズの代表曲をアレンジした形で集められたアルバム『LAUGHIN' CUNTS UP YOUR NOSE』をリリース、再びインディーズ・チャートに自らの名前を登場させた。
5月26日、彼らは地元大阪でライブを行った。会場となったライブハウスROCKETSにはパンク・ファッションの男性はいるが、大半は普通の格好の男女。中にはサラリーマン風のスーツ姿の男性も見受けられ、時代の流れを痛感させられる。
ジェイロックマガジンは、そのライブ当日のリハーサル終了後、チャーミーとPONの2人にその復活のいきさつなどを語ってもらった。


●解散して約4年がたった今、再結成ということですが、その理由は何だったんですか。
チャーミー(以下C):(テンションの高ぶりを説明するように)ごっついまた来てるねん。
PON(以下P):時の流れやね。
C:ライブを観てもらったら分かると思うんですけど、今やりたいと思ってやっていることが、今一番かっこええことやと思うし。
P:尖っていると感じられる。俺らはいつも尖ってることが好きやったから。
C:違うことがかっこええと思ってるんやったら、違うことをやってるけど。今やってるこの形がベストやっていうのがあるから。
P:フラストレーションばりばりの俺らのサウンドが、一番尖っているような気がして。俺は、前は打ち込みとか好きやったけど、それではもう時代が追っつけへんようになってね。やっぱりなんかオタクやなあっていう感じになってもうて(チャーミー爆笑)。今はこれやなって感じですね(笑)。

●PONさんのバンド、COW COW(カウ・カウ)が活動停止になった原因は、そのあたりにあるんですか。
P:いや、カウ・カウは事務所とかみ合わず、それよりメジャー自体が嫌になってね。もうメジャーはかったるいから、「やめー」いう感じで。それより、今こんなサウンドがやりたいいうのがあったからね。

●ラフィンを脱退してコブラに加入しましたが、その時ラフィンに対してどういう気持ちで脱退を決意したんですか。
P:それはやっぱり人間関係で煮詰まってたから。同じメンバー4人で5、6年やったでしょ。普通イヤになりますよ(笑)。

●サウンドに関してではなくて。
P:サウンドというより、バンドがかったるいなっていう感じで。普通5、6年続けているバンドは惰性が多い。俺らは幸いひと回りして、今ごっついええ感じになれたからよかったなって思ってるけど。

●ラフィンを再結成しようと言い出したのはどちらなんですか。
C:同時やねえ。やりたいっていう気持ちはずっと持ってて、どっちが言い出すかっていう感じやったから。

●カウ・カウの活動をしながらも、その気持ちがあったんですか。
P:カウ・カウでも後期はパンク・サウンドをやっとってんけど、これじゃあ追いつかんなあって。

●気持ちの中でどんどんパンクに戻っていったんですか。
P:パンクというより、ラフィン・ノーズやね。俺らはまず、メジャーはどうでもええなっていう気持ちになって。で、インディーもどうでもええな、パンクもどうでもええなって。今回のCDがすべていう感じやね。
C:何とも違うっていう意識はあるね。メジャーとかインディーとか、そんなんどうでもええわ。

●とりあえず、ラフィンをやりたいと。
C:うん。
P:結果的にパンクのフラストレーションをズームアップしたサウンドになんねんけど、それがラフィンと思ってるから。それがあるから、パンクもどうでもいいやって感じですね。

●ラフィン・ノーズという名前にこだわっているのはなぜですか。
P:ジャンル関係なしで、ラフィンは「自分の言葉で話せる」っていう感じちゃうかなあ。パンクという言葉を借りやんと。30歳超えてバンドやってるわけで、変に落ち着きたくないと思ってたからね。まあ、こういう形になれたから良かったかなあみたいな。
C:いや、それも違う。
P:違うんかいな(笑)。
C:だって、ジョン・ライドン(セックス・ピストルズのヴォーカル)の「ローリング・ストーンズみたいになりたくない」っていうひと言があったから、パンクにとって長いこと同じバンドをするのはダサイみたいに思われてたけど、それは違うと思うねん、俺。ラフィンはそんなん関係ないって言える。そういうネガティブなパンク観とかを全部、ぶっ壊したいっていうのがある。パンクやから、これはあかんっていうのがあると思うねんやんか。でもラフィンって、それをずっと壊してきたから。かつてのパンク・ヒーローが吐いたひと言をずっと引っぱり続けるのはダサイと思う。パンクっていう、変な宗教チックなものに結ばれたくないねん。そういうのは何にでもあると思うけど。それは、自分を縛りつけるものやと思うから。負けたくないっすねぇ(笑)。

●95年1月に念願のライブが行われ、ツアーを続けているわけですが手応えはどうですか。
C:俺が思ったんはやっぱ、やる度にどんどんベストな状態に近づいていってるということ。今回ツアーで何ヵ所か回ったけど、だんだん良くなってきてるし。メンバーのノリがどんどん固まってきた。AKIOがギターを弾き出してからのラフィンっていうのが、だんだんええ感じで見せられるようになってきたんちゃうかな。内部のエナジーがすごく上がってきてると思う。それを客も分かって、一つのでっかいグルーヴになるんと違うかな。

●昔のラフィンをリアルタイムで経験した多くのファンの人たちが、久しぶりにライブを観に集まって来てると思うんですが。
P:やっぱり複雑な気分になるやろうと思うね。
C:ごっついなるやろうね。
P:その人たちも、そのころとは変わってるんやろうし…。でも、俺らはビンビンやから(爆笑)。

●今回のアルバムも昔の曲ばかりを収録しているのは、もう一回昔の曲をやりたいというのがあったんですか。
P:当然。ヘタに新曲を作るより昔の曲でアレンジをやる方が、とりあえず尖ってるって感じやからね。

●今のインディーズ・シーンに刺激はありますか。
C:今はごっつうあるよ。超アンダーグラウンドなバンドに引かれるのはすごくある。
P:ギンギンの昔のパンク・シーンみたいに。最近ジャパ・コア(ジャパニーズ・ハードコア)がすごいもん。
C:ジャパ・コアのレコードばっかり買うてる。
P:何せ、その辺にごっつい刺激を受けてね。
C:メジャー指向のインディーズには全く興味ない。何かメジャー行ってっていう、もうそういう時代やないねん。そういうのは全部ダサイと思うし、バンドブームのしっぽ捕まえてなんとか、みたいなのは全滅してほしい。そうじゃない部分のアンダーグラウンドのほんまにかっこええハードコアのバンドがおるから。そういうヤツらとは仲良くやっていきたいな。
P:そういうレコードを買うようになってから、俺らもチャラチャラ打ち込みとかをやってる場合じゃないなあってすごい感じてね。それがすべて。ザッツ・オール。僕はいつでもシンプル。

●新しいインディーズ・シーンによって、逆にラフィンが触発されたことになるんですね。
P:だから言ってるでしょうに、刺激を受けたって。
C:ハードコアの暴力性だけにひかれた連中もおるやろうけど。そうやなくて、今のハードコアをやってる若い連中が、俺らの感覚みたいなものを分かってくれてるっていうのがすごくうれしいね。それは驚きやったな。ハード・コアっていうたら「バイオレンス」「ケンカ」しかなかったから。
P:まだ、そういうの分かってやってるバンドは多くないけど。センスびんびんの奴らばかりで、ちょーマジにヤバイ! 「ウイ・アー・パンクス」っていう感じ? もう負けそー(笑)。瞬間で友達よ(爆笑)。

待ちに待った彼らのライブはすさまじい熱気が漂い、ステージと客席はまさにパワーとパワーのぶつかり合い。ファンはステージから流れる激しい、そして懐かしい音を全身全霊で受け止める。ステージ前方は、中途半端な気持ちで立ち向かったのではケガをしそうなぐらいの迫力で、ライブ終了まで衰えることはなかった。
ライブ終了後のファンが心地良い疲労感の中で、口々に答えてくれた言葉は「もう懐かしさを感じている暇がなかった」「待ってたかいがあった」「全然、変わってなかった」「涙が出そうなくらい良かった」「いつまでも若い」。
また新しいムーブメントが起こりそうな、そんな予感さえ感じさせる、気迫が伝わってくるライブだった。

(撮影・高木昭仁)