DEEN




すっかり秋の気配に包まれ、小雨の降る天気模様が肌寒ささえ感じさせる9月25日。発表されたばかりのニューアルバム『I wish』を引っ提げて、初の全国ツアー『LIVE JOY-Break1“I wish”』を展開中のDEENが、26日IMPホールで行われるライブに向けて大阪入りした。
デビューして三年半のDEENは、今までシングルを中心に多くの作品を発表しているが、ライブはもちろんメディアへの露出も少なく、ファンにとってはその音源が唯一彼らとのつながり。そんな中行われる初の全国ツアーは、メンバーの意気込みにも増して周囲の期待や注目も高く、単なるファーストツアーでは終われない感さえある。当然メンバーはかなりの緊張や不安に襲われていると思われるが…。
15時15分。予定通り新幹線が入線。ホームから窓越しにメンバーの姿を探すが、さすがに降りる人が多くなかなかメンバーを確認することができない。仕方なく乗降口にて待ち構えていると、見覚えのあるマネジャー氏の顔が見えた。その後ろからドラマー宇津本直紀、ギタリスト田川伸治、キーボディスト山根公路、そしてボーカリスト池森秀一が次々と姿を見せる。カメラには気付いたようだが、それぞれ荷物を抱え、そのままゆっくりと出口に向かって歩き出した。車内では、長旅そして昨日の福岡のライブの疲れもあって休んでいたのだろうか。全員少し眠そうだ。しかし予想していた緊張や不安はみじんも感じられない。スタッフやメンバー同士談笑しながら、階段を降り改札を抜けていくそのリラックスした様子は、拍子抜けしてしまうほどだったが、同時にライブという目的に向かっているバンドのたくましさを感じさせる。その後車に乗り込んだ一行は、ホテルへと向かうのだった。


 大阪入りしてホッと一息、明日に向けてコンディションを整える…、そんな思いがメンバーにあったかどうか定かではないが、本誌のインタビューはホテル到着後休む間もない16時30分から。少し早かったが、あてがわれた一室で雑誌インタビュー、そしてTV収録用のビデオカメラのセッティングを始める。すると、突然メンバーが現れた。あわてふためくスタッフ。しかし、「ちょっと、うどんでも食べに行ってきます」というマネジャー氏の言葉に一同ホッ…。
 オンタイムにメンバーは再び登場。席に着きながら池森は「どうしてあんなにうまいんでしょうねえ」と、大阪の味に満足気だ。テーブルには左から宇津本、山根、池森、田川が並ぶ。池森と田川は以前にインタビューで会ったことがあるが、宇津本と山根は初対面。そしてメンバー全員のインタビューは初めてである。
 TV用のまぶしいライトが彼らを照らしつけた。こんな雰囲気の中で彼らは自分たちの思いを素直に話してくれるのだろうか。胸元にはTV用のピンマイクまで取り付けられて、心なしか表情が硬いようだが…。「どんな質問内容なんですか」宇津本が問いかけてくる。「たくさんありますよ。今日はTVが入ってますけど、あくまでもジェイロックマガジンのインタビューとして会話式で行きますから、TVは気にしないで(笑)」。とは言え、周りを囲むスタッフの視線がメンバーの動きに言葉に注がれているような状況で、「気にするな!」という方が無理なのかもしれない。とにかく聞きたいことはいっぱいある。インタビューを始めよう。


●念願のツアー真っ最中のみなさんに、まずはライブの感想や手応えを聞きたいんですが。
池森秀一(Vo、以下I):初日の札幌は地元だったから、どこか僕に対して応援みたいなとこもあったと思うけど、受けとかノリはすごく良かったですね。ただやる方は一発目だったから、やっぱりちょっと固かったけど。

●満足度はかなり高い。
I:満足は…(笑)、回数重ねるごとに増していってるって感じかな。

●一発目はみんなかなり緊張しました?
山根公路(Ky、以下Y):そうですね、どんな反応が返ってくるのかなって部分が一番心配だったけど、いい感じで返ってきて。

●客席の反応はどんな感じでした?
宇津本直紀(Ds、以下U):どの会場でも必ず真ん中辺りに全曲歌ってる子がいるんですよ。全曲歌詞を間違えないで。そういう人の存在ってすごくうれしいですね。
I:それに僕らと同い年ぐらいの男がすごく多い。ツアーが始まる前は、「きっと中高生が多いんだろうな」って思ってたけど、大人の人も多いしね。

●ニューアルバム『I wish』が出たばかりですけど、新曲に対しての反応はどうですか。
田川伸治(G、以下T):今が旬っていうか、一番新鮮な状況で聴けるせいか、反応はとてもいいですよ。

●まだ二本しか終わってないんですけど、ライブでのエピソードって何かあります?
I:昨日、MCで頭が真っ白になった(笑)。

●どうしてですか(笑)。
I:MCっていろいろと言いたいことを前もって考えてあるんですけど、「このまま君だけを奪い去りたい」のイントロが入るところで真っ白になっちゃって。「どうしよう…」って思ってたら、観客が「頑張れ!」って。
 それと、やっぱり僕たちってしゃべってるイメージがないんでしょうね。ライブは最初3曲ダーって続けるんだけど、福岡のイベンターの人が「やっぱりDEENってしゃべれないんだ」って思ってたらしい(笑)。でもしゃべり始めたらこんなファニーな奴らで(笑)。そんなギャップはあるみたいですね。

●きっと観客もDEENに対してのイメージを持ってたでしょうね。そういうファンを迎え入れるのは勇気がいりました? 
I:いや、そんなことはない。みんな、しゃべると面白い奴だし、そういう意味でもいい裏切りはしてると思うけど。

●やはりDEENには”さわやか“ってイメージを持ってた人が多いと思うんですけど、実は熱い兄ちゃんたちなんだってことを見せてやろうと。
I:そうですね。でもやっぱりさわやかに映ってるのかな。
Y:まあ、バンドとして一つのノリやハーモニーを作っていけて、「どうだあ!!」って押しつけがましい感じじゃなくて、「一緒に行こうよ」みたいな感じのスタンスでやっていけたらいいなと思いますけどね。
I:うん。どこか聴く人に預けてるというか、強制がないっていうかね。僕たちは精一杯やるから、みんなも精一杯自分が楽しめるものを見つけてくれっていう。

●今回は会場がオールスタンディングばかりなんで、観客の反応はダイレクトに返ってきますけど、その分ノリがいい人も悪い人も見えるでしょ。そういうのは気になりますか。
T:自分の前は冷静に見てる人が多いですよ。

●ギター小僧が指を見てるとか(笑)。
T:何かお腹ばっかり見られてる感じで、目線はいつまでたっても合わない(笑)。札幌の時だったかな。中学生くらいの男の子がね、一番前に柵があるんですけど、そこでじぃーっと動物園で何かを観察してるみたいに見てるんですよ。

●緊張しないですか。間違っちゃいけないとか。
T:いや、その時は見せつけるつもりでいくんですけどね。やっぱり見られてると思うと良くないんですよ。ネガティブになっちゃって(笑)。だから「どうだい!」って気持ちでやる(笑)。

●注目度の高い池森さんはその辺どうですか。
I:あんまり目は合わせられないよね。例えばバラードとかやってる時に、ステージの近くで泣いてる子がいるのが分かるんですよ。その子と目が合うと僕まで泣きそうになっちゃって。だから極力見ないようにしてるんです。

●逆にノリの悪い観客は?
I:そういうのは入ってこないみたい(笑)。きっとみんな楽しんでくれてるだろうなって思いながらやってるし、そう伝わってほしいと思ってるからね。

●緊張のために演奏が走ってしまったりはしませんか。
Y:まだライブでの心の持って行き方を、各自で模索してる部分があって。そこら辺が毎回心地いい緊張感になるように努力してるんですけど。

●メンバー同士で、「あいつ焦ってるな」とかって分かったりします? 
T:いや、例えば一人が走っても全員走っちゃえば同じなわけだから(笑)。そういう精神状態に持っていくようには、メンバー内で心がけてるんですけどね。一人がミスったとか、まずいプレーがあった場合は、その他のメンバーがそれを補い、盛り立てるプレーでカバーしていこうと。チームプレーで頑張ろうと。

●ステージの上ではそれぞれの役回りってあるんですか。山根さんはリーダーとして、みんなを統率していこうとか。
Y:いや、ステージの上では、こうと決めてるわけじゃなくて、それぞれの地が出てる状態がDEENのカラーになってる気がするんですよ。だから君はそれ、君はこれとかそういう感じはないです。


●初めてのツアーということで不安も大きいでしょ。
I:いやもう不安100ですよ。でも、それはツアーに出てみんなの前でやらないと自信に変わらないってことが分かってたからね。だからそういう意味では、一発やって降りた肩の荷はデカイ。札幌の後はプレッシャーもだいぶなくなったし、尻上がりの状態ですね。

●ボーカリストは声の不安も大きかったと思うんですけど。
I:ちゃんと休むことですよね。しっかり休むところでは休んで。

●明日の大阪、翌日の名古屋と連日ですよ。
I:ねえ。だけど、リハーサルで三日間連続とかやってるからそれはそんなに心配してない。とにかく僕は終わってから遊ばずに。みなさんはお酒飲みなんで(笑)。

●今回のライブにはサポートとしてベーシストとマニピュレーターが入ってますけど、やっぱりベースを生音にしてるのは理由があるんですか。どうしてアルバムのように打ち込みではだめなんでしょう。
T:出発点ではね、作品の完ぺき再現を重視してやろうとしてた時期もあるんですけど、やってるメンバーが盛り上がらないっていうのがあって。音としては作品に近いのがいいのかもしれないんですけど、多少CDと違っても生音の方がメンバーのグルーブ、わき出てくるものが違うんですよ。やっぱりシンセベースが相手だと、煮詰まったり、滅入るものがあって。だから音よりもメンバーの気持ちの方を大切にしたいってことで、最終的に生のベースでいこうってなったんです。

●やっぱりそのグルーブは違う。
T:違いますね。

●宇津本さんはドラムだから余計にそう思うんじゃないですか。
U:そうですね。最初はシンセベースでやってたんですけど、「盛り上げろ」って言われても気分が盛り上がらない。それに個人的な好みなのかもしれないけど、シンセベースは雰囲気がないっていうか、奥行きがないんですよ。ライブ用にアレンジとかも変えたかったし…。だから昔から一緒にやってたベーシストを連れてきた。

●そのグルーブ感を作品に生かそうとか?
T:つなげたいですね、それは。

●ライブでやったことで、余計にそう感じたんですかね。
T:ライブに関してはそういう考え方に行き着いたんですけど、作品に関してはやっぱり楽曲ごとのアレンジとしていいものを考えてて。だから生は絶対にいいってことに目覚めたわけではなくて、そうすることで曲が良くなるならどんどん取り入れていこうと。

●今後生まれる曲も楽しみですね。今はツアーが始まったばかりなんですが、今後のライブでの課題も見えてきてると思うんですね。二本のライブを終えて、どういう部分を実感してますか。
I:課題はリハでやってるときより本番でやった後の方がよく分かるよね。「ここはもっとこうできるな。ああできるな」って。それをすぐ次の本番で生かせるし。

●池森さんの「こうできるな」って具体的にどんな?
I:やっぱりライブはアルバムが出る度やるべきだなって。レコーディングももちろん気持ちよく歌ってるんだけど、何かを作り上げるって感覚でしょ。でもライブは人前で歌うわけだし、人前で歌うその喜びを感じたいからボーカリストになろうって思ったわけだから。それが現実になって、僕らのCDを買った人が見に来てくれることと、自分の自信が結びついてくればもっといろんなことが見えてくると思うし。今はそこが見えるように自分と戦ってる。

●それを積み重ねていくことで見えてくるものがある。
I:積み重ねていけば絶対見えるっていう自信はある。あとはいかに「あそこはこうしよう」って思ったところをクリアにしていくか。

●田川さんは?
T:会場によって全然違う音をどうするかっていうのがありますね。会場を見ただけで、「あ、今日はこんな鳴りだろうな」とか、ある程度把握できるような力も身に着けたいし、それにすぐ対応できるセッティングのうまさも身に着けていかなきゃなと。あと、ライブでの精神的な持っていき方。今日は調子悪かったとか、調子良かったとか、それはやっぱり観客に失礼なんで、どういう状況でも、どんな体調のときでも、せめて精神状態だけは最良の状態に持っていける、そういうメンタルなトレーニングをしていきたいって思ってます。
I:現実にはなかなかうまくいかないけどね。
T:それこそ泣いてるのとか見ちゃうと、やっぱりね。

●そのバランスがうまく取れるようになっていければいいですよね。山根さんはどうですか。
Y:僕は観客がどれだけ楽しんでくれるかっていう。例えばスタッフと僕たちでどんどん新しい仕掛け作っていって、楽しんでもらえるライブ作りをしていきたい。それは照明かもしれないし、ドーンっていう仕掛けかもしれないし、まだ模索してる部分なんですけど、そこら辺をトータル的に考えていきたいなと。

●宇津本さんはどうでしょう。
U:田川君が言ったのと大体同じなんですが、ライブってちょっとした自分の心理状態とか気の持ち方が音になって出ていくんで、それをセットアップしようってことですかね。後は観客は演奏を聴きに来てると思うんで、いつもみんなのサウンドをしっかり合わせて聴いてもらいたい。そして自分の場合、田川君と違って「どうだ〜!!」ってやるより冷静に全部を見渡しながらやることが大切だと思うので、そんな風に心がけています。

●ドラマーですからね、みんなを一つにまとめて。
U:そうなんです。自分が崩れたらどうも最後らしいってことが最近分かってきたんですよ(笑)。

●では次に新作のことを聞きたいんですが、ニューアルバム『I wish』を聴かせてもらって、この例えが気に入ってもらえるかどうか分からないんですけど、私は丁寧に作ってあるメンバーのおいしいところが煮込まれたシチューみたいだと感じたんですよ。
Y:よく言えばシチュー、悪く言えばごった煮(笑)。何でもあり。

●でも制作期間2年は長いですよね。これはかなりの試行錯誤があったのではないかと。
T:まあシチューで言えば、煮込んでた具を合わないってことで途中で取り出して捨てたり…。
I:新しく「やっぱりこの具を入れた方がいいんじゃない?」とか。

●合わないっていうのは?
T:シングルを中心にアルバムを組み立てるんですけど、2年もかかるとシングルもどんどん出すじゃないですか。そうなるとアルバムの最初のコンセプトになかったシングル曲がポンと入ってきて、それが入るとなると「この曲が全体的に合わないかなー」とか。「こういう曲が必要になってきたなー」とか。そうやって入れたり出したり。

●それで2年。
U:自分の感想から言うと、「もうできるかな」と思ってから1年ぐらいたっちゃったんですよ。でもそれからまたシングルが出て、それが入ってきて、他と合わないから外そうとなって…。

●そんな状況で煮詰まってしまうことはないんですか。もちろんシングルも自分たちの作品だけど、それをリリースするとアルバムの完成は延びるわけですよね。
Y:シングルとアルバムの作業を平行してやってたんで、そういう不安とかを感じてる暇がなかったっていうのもあるし、とにかくライブもあるから絶対にアルバムは出そうと。

●もしライブが決まってなかったら、まだアルバムは出てなかったかもしれない?
I:そうかもしれない。「もうちょっとやってみよう」ってなってたかも(笑)。

●今回のアルバムにはシングル曲が5曲入ってるんですが、シングルに対する考え方ってアーティストによっていろいろですよね。DEENにとってはシングルってどういうものですか。
U:最近はちょっと意味合いが変わってきてるかもしれないですね。前は1曲1曲が独立した作品っていう考え方だったんですよ。でも、ここ何作かはアルバムの中の曲としてどうかな?っていう部分が大分入ってきてます。
Y:アルバムに入れて聴くとまた違った、そのアルバムの中でのトータルな雰囲気が出てくると思うんで、そういう意味でも外せないなって。

●シングル曲はDEENファン以外の人も耳にしますけど、アルバムはまずDEENファンが手に取る。その意味では一般大衆に聴いてもらえる曲と、DEENファンを喜ばせてあげる曲に分かれてくるんじゃないですか。
T:みんなどっかで意識してるんじゃないですかね。僕とかも「ちょっとシングルでは…」ってことを実験的にアルバムの曲でやったり。どっかでニヤリとさせたいなっていうのはアルバム曲で心がけてますね。
I:それがやれるとこだもんね、アルバムって。

●今回のアルバムはそういうニヤリとさせられる部分が多くて、聴いていて各メンバーの個性や好きなことが伝わってくるんですが、それでこそDEENの作品だと思うんですね。こういう作品が生まれたってことは、みなさんのバンドに対する意識が変わってきてるんじゃないかなって思うんですけど。
I:うん、みんな変わってきたと思います。僕から見てもすごく変わってきてるし。DEENにはメンバーみんなが曲を書けるっていう強みがあるじゃないですか。一人が10曲書けば40曲になるわけで、だから一枚のアルバムの中でメンバーが均等に曲を書いてるってことが、バンドの第一目標だと思っていたんですよ。それが二枚目でできたというのは、みんながそれぞれDEENとしての意識をしっかり持ったからだと思うんです。
Y:ライブをやるにあたってのリハーサルとかを繰り返していくうちに、バンドのアンサンブルもすごく固まってきたし。

●今後はライブにも作品にもバンドらしさ、DEENらしさをどんどん出していこうっていう意識が強いですか。
I:そうですね。特に2ndアルバム『I wish』は、ようやく一本打ち出せたかなって気がしますから。

●1stアルバム『DEEN』では、ここまでメンバーの個性が出てなかったと思うんですけど、これだけ2ndではっきり出てきた理由が何かあるんじゃないですか。
I:みんながDEENとしての意識を大事にしてきたんじゃないですか。

●その意識がはっきりと形になったという。
T:そうですね。前はDEENはどういうスタイルの音楽をやればいいのかとか、こういう音楽をやればいいんじゃないとか、そういう言葉上の討論はよくしたんですけど、どういう曲調で、どういう音楽性のものがDEENかっていう答えが出なかったんです。結局は曲を作ってみるまで分からなくて、作ってから「これはDEENっぽくないよね」「これはDEENっぽいね」って判断するしかない。でも最近はメンバーみんなの中で、「こういうのがDEENなんだ」っていうカラーとかイメージみたいなものが個人個人はっきりと持ててきたように思うんです。

●言葉にならない、みんなの中にある共通の思いがはっきりして、つながってきたという。
T:そしてそんな気持ちが音になって表れてきたんです。だから2ndアルバムにはそんなDEENらしさが感じられる。
I:きっと他のバンドよりは、持っている色も多いと思うしね。

●そんな意識を持ってメンバーそれぞれが曲を手掛けるわけですけど、メンバー同士影響されたり、驚かされたりすることってありますか。
Y:それはもう聴いてきた音楽が違うし、それぞれ好きな曲調とか自然に出てくるものってあるじゃないですか。そんな中に「これは僕には出ないな、浮かんでこないな」っていうのがあるし、一人でやるととかく煮詰まったり、同じパターンの曲ができちゃったりするから、DEENの一つのカラーとして四人で刺激し合って曲にしたりするんです。

●煮詰まったりすると相談はよくします?
Y:それはよくありますね。
I:ここまできたけど、公ちゃん、後どうしようって(笑)。

●山根さんはそれに答えて。
Y:そうですね、一応分かったとは言っておきます(笑)。いいものができるかどうかは分かんないですけど。
U:「未来のために」とか「少年」はそういう形で生まれたんです。

●合作の曲ですね。
Y:そうです。最初から一緒に二人で「せーの」ってやって作るのも試したんですけど、今のところはできるところまで作って、その後を相談したり任せたりするっていうパターン。
I:やっぱり多数で「せーの!」って作るのは難しいんですよ。四人で曲を作ろうかっていっても逆に煮詰まったり。
T:同じ音楽を聴いて来た者同士だったら、お約束が決まってて、ネタの出し合いでまとまると思うんだけど。僕らはみんなそれぞれバラバラだし、だから面白い曲ができる。

●今回はDEENのアレンジ曲が「Sha・la・la・la」と「ありったけの笑顔」の2曲ありますが、アレンジはどういう感じでやるんですか。
T:本人の持ってきたデモからみんなでイメージを膨らませて決めていくんですけど。

●アレンジは面白い?
T:面白いっていうか勉強ですよね。

●アレンジャーの人にイメージを伝えるのと、メンバー自身がやるのとではやっぱり違ってきますよね。
T:自分たちの場合は、この曲はこのアレンジャーさんにお願いしたら曲がよりパワーを持ってくるんじゃないかとか、この曲は自分たちでアレンジしてみたいとか、曲によって選んでるんですよ。

●アレンジャーに任せる時も具体的にアイデアを出して渡すんですか。
T:そうですね。そういう場合もありますし、同じ曲を二人のアレンジャーさんに手掛けてもらって、いい方をチョイスするときもあります。やっぱり全然味が違いますから。
I:でも逆にアレンジャーさんたちは、DEENがやった「Sha・la・la・la」のアレンジとかに新鮮味があるみたいで。「すごく音がいいね」って言われるとうれしいです。

●DEENはデビューして三年半になるんですよね。こうして念願のツアーも行い、2ndアルバムも完成した。最後に次のDEENはどこに行くのかを聞きたいんですが。
U:作曲面でもドラムにおいても、今まではやみくもにやってて勉強不足の面もあったんですよ。そういうことが一つでも少なくなるように、自信をつけられるように、経験したり、研究していければなと。それをバンド全体で、互いに競争したり、助け合ったりしていければいいなあと思います。
I:具体的にはまだ見えてこないけど、確実に二枚目よりも、意志にしろ、方向性にしろ濃くなっていくと思うし、ライブやってみんなそれぞれ自信も付くだろうから、今日より明日っていう尻上がりで行ければいいなって。下がるんじゃなくて、ちょっとでもいいから登りのラインで行くことを心がけていきたいですね。

 インタビュー終了後、明日は大阪でのライブ本番を丸一日追いかけることを話すと、四人は「よろしくお願いします」と快い笑顔を返してくれた。本番を目前に控えながらも、彼らからはライブができる喜び、そして明日の一本でまた自分達がステップアップするんだという自信のようなものが伝わってくる。
 今日語ってくれたバンドとしての熱い思いとこだわりは、明日のライブでどんな形になって表れるのだろうか。DEENに対して様々な思いを抱いてやってくる観客は、どんな満足を得られるのだろうか。
 「とにかく実際にライブを見て確かめてやる!」。落ち着いた様子の彼らとは逆に、話を聞いて明日のライブへの興味が膨らむ私は、そんな思いを抱きながらホテルを後にした。