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PLAY LIST

PSYENCE
POSE
Bacteria
DAMAGE
BEAUTY & STUPID
TECHNO
THERAPY
Cafe Le PSYENCE
FLAME
LASSIE
CHIROLYN SOLO
Hi-Ho 〜 DRUM SOLO 〜 Hi-Ho
LEMONed I Scream
MISERY
DICE
OBLAAT
TELL ME
後編
ERASE
DOUBT
D.O.D. (DRINK OR DIE)
GOOD BYE

 オープニングからすさまじく迫り来る音と光の波。それに飲み込まれた僕の体は、頭より速くこの情け容赦ない重厚なサウンドとカラフルなライトシャワーに反応し、胸の奥が鈍い痛みを訴え始めた。きっとこの刺激される感覚がhideの言うポップ(=皮膚感)なのだろう。それは決して締め付けられる苦しいものではなく、普段の生活で凝り固まったフラストレーションが瞬時に撃破されたような、一種のそう快感や開放感に近い。僕は音を、熱気を、エネルギーを肌で感じ取り、その力強さに圧倒されながらもオーディエンスの一人と化して純粋にライブを楽しんでいた。しかし、そんな思考能力を失っていた僕の頭脳が、曲のエンディングでの「いらっしゃい」というhideの言葉をキャッチし、このライブをレポートしなければいけないという重大な使命を思い出した…。

 約2年半ぶりとなるhideのソロツアー。今回のサポートメンバーは、布袋寅泰のツアーと掛け持ちというベーシストCHIROLYN、グレイや幻覚アレルギーなどのヘルパーでもあるキーボディストD.I.E.、hideのよき相棒でもあるパーカッション&マニピュレーターI.N.A、そしてXジャパンのギタリストPATA、ジギーのドラマーJOE。と、ここまでは前回のツアーと同じだが、華麗なギタープレイを見せていたRANが病欠のため、メディア・ユースのKIYOSHIが参加している。そして、そのKIYOSHI。初っぱなからベルゼルブ(造形アーティスト韮沢靖氏デザインによる威圧感のあるいびつな形をしたギター)を武器に大暴れし、そのアグレッシブなステージングは城ホールの広い空間に彼の存在感をまき散らしていた。


 怒涛(どとう)のごとくスリリングかつハードなサウンドを客席に浴びせた後、「いらっしゃいませ。ご機嫌うるわしゅう」とhideのMCが入れられた。そして、元気のいい野郎たちやセーラー服軍団など数人の観客をステージに招き、「BEAUTY & STUPID」のグラムチックでダンサブルなグルーブで強力な一体感を作り上げる。
 地をはうようなすごみのあるCHIROLYNのベースと重戦車級のJOEの超パワフルドラム。効果的に突き刺さってくるD.I.E.のキーボード、破壊的な生ドラムに挑むI.N.Aのクールなエレクトリック・ドラム。そして、雄叫びを上げるKIYOSHIのギターと、重たいリフを刻むPATAのレスポール。それらが交錯する剛健サウンドは、ノイズやミクスチャーのようなアンダーグラウンドの香りと底知れぬパワーを放出するものの、hideのボーカルが入ればポップにもメランコリックにも生まれ変わる。また、激烈な聴覚への衝撃だけでなく、曲とリンクしたCGやショーアップされた演出による、視覚へのアバンギャルドなアプローチも彼のライブならでは。何と言っても、スクリーンの中のJOEと目の前のJOEによる独りドラム合戦”hideバンドのJOEvsジギーのJOE“、というパフォーマンスは画期的。正に前代未聞の試みである。また、「LEMONed I Scream」ではロザンナと名乗るニューハーフチックなあやしいマダムとhideがデュエット。「ヒデとロザンナです。笑いの本場で寒いこと言って申し訳ありません」と言っていたが、最後にマダムの正体が女装したCHIROLYNというなかなかシャレたオチを残した。
 そんな和やかな空気も振りまきながらライブは「MISERY」から後半へ突入。疾走感あふれるポップチューンに引っ張られるかのように、客席はテンションをぐんぐん上昇させ、メンバーもブチ切れたようにパッションを爆発させている。特にD.I.E.はかかとを骨折しているにも関わらず、ギターを手にすると、片足で飛び跳ねながら広いステージを駆け抜け、そのエキサイティングぶりにhideが思わず「D.I.E.ちゃんいけません」と止めたぐらいだ。また、「骨折!」と大きく書かれた湿布を胸部に張ったCHIROLYNも、負傷者とは思えないほどエネルギッシュに暴れ回っている。
 hideが「後半へ続く」とひと言残しメンバーがステージを去り、しばしインターバル。俗に言うアンコールの間なのだが、スクリーンが楽屋でくつろぐメンバーを映し出し、その間も観客を退屈させない。これもhideのファンへの心配りなのだろう。やがてスクリーンが再びステージに向かうメンバーをとらえ、終演へ向けありったけのエナジーを燃焼させた後編が開始された。

 hideのライブを体感して思ったことは”楽しむ“というキーワード。ステージ上のメンバーも楽しくプレイしているし、観客も笑顔でそのサウンドやスクリーン映像を受け止め、自分なりのリアクションをステージに返している。みんなが心底ライブを楽しんでいるということが、すごく伝わってきた。そしてもう一つ、hideがビジュアルロッカーであるということも再確認した。百パーセント満足できるサウンドインパクトに加え、百パーセント楽しめるビジュアルショック。これがhideのパフォーマンスだ。Xの登場によって誕生したビジュアルロックという国産ロックは、いつしか商品まがいの胡散(うさん)臭いものに成り下がってしまった。グラムロックという確固たる視覚的なロックンロールが世界的に存在するのだから、ビジュアルロックも成立していいはずなのだが…。本来の意味を失ったそんなジャンルにくくられるアーティストは、
”ビジュアル系“と呼ばれることを拒絶するより、先駆者であるhideのライブをお手本に再構築してほしいものだ。音楽まで飾りとなった仮装パーティーは、ビジュアルロック以前にロックではない。


 大阪城ホールを大いに沸かせたライブの翌日。働き者のhideはその日をキャンペーンに当てており、本誌の取材を終えた後も午前0時までスケジュールが入っているという多忙ぶりだ。取材用に貸し切られた某ホテルのスイートルームに現れた彼は、昨夜のライブの疲れはなさそうだが、少し声がハスキーになっている。しかし、「今回は初っぱなから風邪をずーっとひきっぱなしだったから、ちょっと弱ってるんですよ」と言いながらも、「楽しいから大丈夫」と笑顔を返してくれ、今回のツアーに関することはもちろん、曲作りやロック論、そしてXジャパンやYOSHIKIについてなど、いろいろ話してくれた。


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