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筋肉少女帯 |
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昨年はアコースティックライブや学園祭といった活動はあったものの、アルバムリリースがなく、どちらかといえば大槻ケンヂや橘高文彦のソロ活動の方にばかり話題が集まっていた筋肉少女帯。そんな彼らがようやく重い腰を上げ、本格的に動き出した。前作『レティクル座妄想』から2年ぶりとなる新作『ステーシーの美術』を完成させ、さらにアルバムリリース前には「筋少リベンジ!および新曲発表会」と題した東名阪ツアーまで敢行。
●今回は「再生、筋少」という言われ方をしているじゃないですか。ということはバンドは何カ月間は死んでいたのかと思ってしまうんですけど…。 本城(G、以下H):別に「再生」ではないんですけどね。ちょこちょこやってましたからね。 ●アコースティックライブや学園祭とかやってましたもんね。 H:アルバムを出してないと死んでいると思われるから。 内田(B、以下U):客観的に見ての「再生」ですね。 H:東京でやっているぶんには何も感じないんですけど、これからツアーでいろんな所に行きますけど、そういう場所では感じるでしょうね。約2年ぶりのライブですから。 ●筋少のブランクの間にメンバーのソロ活動もありましたが、それが今回のアルバムに生きているという実感はありますか。 U:具体的に「これだっ!」というのは言えませんけど、それはやっぱりあると思いますね。僕らはCD-ROMマガジンにそれぞれがコーナーを持ってまして、そこで打ち込みとかやっていたんで、ライブでバンドでドッカーンというのは「楽ちんだぜ」というのがありますよ。 H:打ち込みで今までと違った感じの曲を作ったが故に、筋少でも違うことがやれたりっていうのはありましたね。 ●アルバムのレコーディングに入る前のバンドとしてのテーマというのは? H:僕と橘高は「とにかく難しいことを考えずに、自分たちがすごくレコーディングを楽しめるようにやろう。もし、それができたら筋少はアルバムをもう10枚作れるんじゃないか」と言ってましたね。それで、レコーディングが終わったときに二人口をそろえて「うん、まだ10枚作れるじゃないか」っていうセリフが出たんで、そんな気持ちの表れが、この髪の毛に(全員爆笑)。 U:バンドとしてのテーマを、特に何かに決めてというのはなかったですね。 H:一応、アルバムのテーマは“再生”ですけど。 ●じゃあ、アルバムを作る方法論としては、いつもと変わってないと。 U:変わらないから、「またかっ!」って感じはあったんですけど、久しぶりだったから新鮮で、楽しかったですね。 ●筋少のレコーディングってどんな雰囲気なんですか。音を聴くとリズムセクションはノリで録っているような感じがするんですけど、ギターのパートなんかはすごくち密ですよね。 H:基本的には自己申告制なんで、自分の好きなようにするんですよ。後は、曲ごとの作曲者がまとめ役になるんです。 U:リズムはノリで、ギターがち密というのは確かにその通りですね。橘高なんかはズルくてリズムセクションを「いいよ」ってうまく口で乗せておいて、リズムを全部録ってから、ギターをずっと10時間ぐらいテケテケと(笑)。 マネージャー(以下M):他のバンドよりも絶対にまじめだと思いますよ。リズム録りするのに全員スタジオにいるんですよ。 ●それは、オーバーダビングのためにスタジオに来るのではなくて? M:ええ、リズム録りも全員で決めてますから。 H:だから、ギターが一番辛いんですよ。最初から最後までいるから。 U:いやいやベースも辛いよ。とりあえずドラムがOK出るまで全力でやらなければいけない。 M:今どき珍しく、全員がブースの中にいますしね。 ●今やベテランの筋少が…。 H:それだけは変わらないですね。 U:そうか。普通、そうじゃないんだ。 M:もうこんなバンドいないよ。 ●アルバムタイトルの「ステーシーの美術」というのは、大槻さんが決めたんですか。 H:大槻が書いていた小説のタイトルなんですよ。もう終わったのかな。突然、イヤになって途中で止めたとか(笑)。 M:話が終わったんですよ。 ●それをタイトルに持ってきたというのは、何か意図が? H:あるんでしょうかね。…“再生”なんですよね。 U:う〜ん。 ●(笑)…昨日は大槻さんがMCで「グレーシー柔術」をもじったと言ってましたけど。 H:それは昨日、突然に思いついたんじゃないですか(笑)。 U:「うむむ」と言って、言葉を濁す(笑)。 ●その『ステーシーの美術』のラフミックスのテープを聴かせてもらったんですけど、本城さんが言っていた「楽しく」という印象も当然あったんですが、僕は「余裕」「風格」「リラックス」といった印象を強く受けたんですよ。 H:「余裕」ですね。 U:三十路(みそじ)の余裕(笑)。若いころは「あれもやんなくちゃ。これもやんなくちゃ」と詰め込んでアルバム全体がグシャってなってたんですよ。それと比べると「そんなにあわてることはない」と。 ●今回のアルバムの作曲者のクレジットを見ると本城さんの曲が多いですよね。 H:たまたまですよ。 U:うちのメイン・メロディーメーカーです。 H:作家様とお呼び!!(笑)不変の筋少テーマ担当の橘高、特攻担当の内田(笑)。そして、常に新たなチャレンジをする本城というように役割が分かれているんですよ。今回、橘高には彼の代名詞と言える“天使に捧ぐレクイエム”と“悪魔に捧ぐレクイエム”を1曲ずつ提供していただいたんで、僕は変わったことをと。大槻がソロを2枚作ったことによって、「こういう歌も、今回は歌えるんじゃないか」と考えながらやってたわけです。 ●常に本城さんは、筋少の広がりを考えていると。 H:そうですね。どの曲とは言いませんが、自分で書いた曲に歌詞が乗ったときに、それが曲を作ったときのイメージとすごく合うときと、全く違うものになってしまうときが今まで幾度かあったんですよ(笑)。だけど、歌というものは歌詞とそろって出来上がるものだから、常に歌い手とその曲のイメージが合ってなければいけないと考えていて、その中でいつも暗中模索の状態だったんですが、今回は「ああ、よかったなぁ」って感じですね。まあ、今回は筋少史上初の歌詞先があったんですよ。 ●あっ、実現したんですね。前回に大槻さんとお話したときに、次の筋少は歌詞先でいくと言ってたんで気にはなっていたんですよ。 H:でも、全部じゃないんです(笑)。それも歌詞の締め切り日というのがあって、その日には全く音沙汰がなかったんですよ。それで、「やっぱりいつもと同じだ」と思って曲を作り出していたら、ある日ファクスがガタガタと音を立ててズルズルズルとイヤになるぐらい長い歌詞が送られてきたんです。 そういう意味では言葉の字数に縛られてしまって、曲を作る自由度がちょっと減ったと感じているメンバーもいるかもしれないけど、イメージ的なものではいつもよりは楽でしたね。歌詞が先にあることによって、そのイメージで作ったものが「もう変えられるまい」というのがあるから。 ●筋少の中での歌詞と曲の出会いというのにすごく興味があるんですよ。大槻さんは、曲を聴いて自分の頭の中でイメージした世界で歌詞を書くわけでしょ。きっと、その中には本城さんが言っていたように、曲を作った人が歌詞を見て「合わない…」と感じるときもあるんだろうなって。 H:「なんで、そこにいくんや」ってのが、たまにあったりしますね(笑)。 ●そういうとき、作曲者はどうするんですか。 H:そのままですよ。「頼むよ〜」とは言いますけどね。でも、台無しになったとは思ってないんです。「だからこそ、筋少なんだ」って思ってるんですよ。 ●曲を作る段階で歌詞があったというのは、作曲者の方からその世界に合わせていく作業だったんですね。 H:だから面白いんですよ。同じ歌詞で、何曲も曲があるわけですからね。大槻が歌詞を書くと、全員のところにガーって長いファクスがいくんですよ。そして、各人がそれに曲を付けていくわけじゃないですか。発表会が楽しみなんですよ(笑)。 U:一つの歌詞に対してタイプの違う曲が3曲あるというのは、曲を作った各人の趣味が出ておかしかったですよ。 H:僕はアバの「ダンシング・クィーン」のようなポップな曲を書いてきたのに、内田は…。 U:なんと、四畳半フォーク(笑)。 H:それで、橘高は発表しなかったんですが、エジプトとか中近東っぽい曲だったという(笑)。 ●(笑)その3パターンを収録してミニアルバムでも出してほしいですね。 H:それは、そのうち違う曲になるんですよ(笑)。 ●今回のアルバムでのチャレンジというと。 H:前回までは三部作で『エリーゼのために』のときから“三連シャッフル切なモノ”が3曲続いてたんですよ。これは自分に課した「同じリズムで3曲作れるか!」というテーマだったんですけど。それが、前回でひと区切りついたんで、今回は違う“切なモノ(切ないメロディーもの)”を作らないといけなくて…。そりゃあ、産みの苦しみというのはすごいですよ(笑)。そして、そこにファクスで「星座の名前を言えるかい」の歌詞が送られてきたんですよ。「よし、これだ!」って。その時、僕の中では「ダンシング・クィーン」だったんですよ(笑)。もうファクスから歌詞が出てきた瞬間にイントロが出来てた。そして、これで新たな“切なモノ”が出来て、もう今回は“三連シャッフル切なモノ”はなしでいいんだと思っていたら、シングルにもなった「トゥルー・ロマンス」が出来て、まだやるのかって(笑)。 U:僕は曲じゃないですけど、毎回、きれいな本城ポップスに、いかに下品なベースのフレーズを弾くかというのが…。 ●それは思います。筋少の曲ってポップだと思ってても、その後ろでひずんだベースが鳴っていますよね。 U:それをいつもテーマにしているんですよ。今回は、一番うまくいったかなと思ってます。 H:僕のライフワークの“切なモノ”には、常に内田の極悪ベースが入っているという(笑)。 ●曲を作るときに本城さんの中では、もう内田さんのベースがイメージされているんでしょうね。 H:ありますね。橘高はこんなのを弾くだろうとか、大槻がこう歌って、太田はこうたたくだろうとか。 U:極悪も、極悪の仕方が産みの苦しみです(笑)。 H:今回は「おもちゃやめぐり」が新たなチャレンジでしたね。橘高に「これは大槻には歌えん」と最初に言われて、「いや大丈夫だ」という固い意志のもと、出来上がってみたら大丈夫だった。いつもほどとがって新しいことではないんですが、筋少の中では新しいことができたかなと。 ポップス担当として言うのはなんですが、ちょっと今回の僕はポップ過ぎたかもしれない。ポップスものが多くなりすぎちゃって。だから、その分内田がハードロックを作ってくれたんですけどね。 ●ハードロックじゃないですけど、「子犬にしてあげる」というかわいい曲は内田さんの曲ですよね。僕はあれを聴いていてT-レックスがカントリー&ウエスタンをやっているような感じに思えたんですよ。 H:ああ、そうとも聴こえますね。僕は「贈る言葉」をイメージしましたけど(笑)。いろんな人にいろんなことを言われるんですよ。ティン・パン・アレイとかね。彼はオリビア・ニュートンジョンの「ジョリーン」だと言い張っているんですよ(笑)。 U:「ジョリーン」とか、60年代安保のころの「いちご白書」のような感じが出せたらいいなと。メロディーにちょっと小椋桂が入っているんですけどね。 H:でも、どこかにあるんですよ。T-レックスとかいろいろ聴いてきたものがやっぱりね。 ●昨日の「筋少リベンジ!および新曲発表会」ツアーの初日は、どんな印象でしたか。 U:一夜明けてみて…、体がくたびれてました(笑)。「あれっ、なんでこんなに肩が痛いんだろう」と思ったら、夕べライブだったと。 H:(笑)うちのバンドは、そういう感想ばっかりです。筋少のライブは特殊ですからね。大槻のライブをやってても、次の日に体が痛いってことはないでしょ(内田に問う)。 U:そんなにないですね。 H:筋少はどういうわけか、翌日になると体のあっちこっちが痛い。 ●他で手を抜いているわけじゃないんだけど、やっぱり筋少としてステージに立った瞬間に特別な気合が入ってしまうと。 H:そうですね。久々の筋少のライブだったんでどうかなと思ってたんですけど、体が勝手に筋少モードに入りますね。 ●やはり、ステージに上がるまでは不安があったんですか。 H:考えるとダメですね。曲もそうですけど、新しくやる曲とか、久しぶりにやる曲とかって「忘れちゃってるかもしれないな」と考えると忘れますからね。でも、何よりも昨日の不安は、金髪になって初めてのライブだったこと(笑)。その不安と緊張が異様にありました。 ●(笑)昨日は大槻さんに昔のバクチク呼ばわりされてましたよね。 H:本人はタカラヅカっぽいと思っていて、“ジェンヌ“”と呼んでほしかったんですけどね(笑)。 ●昨日は筋少としては久々ステージだったんですが、何か新しい発見のようなものはありましたか。 U:個人的に筋肉少女帯ではロック色を出していきたいと思っているんですよ。すたれていくロックというものを、出すことのできるいいバンドだと思ってまして、今回のアルバムでも軽快なロックナンバーを書いたわけなんです(笑)。それで、考えてみたら筋少ってライブでも堂々と恥ずかし〜いロックなことが平気でできる貴重な存在のバンドなんじゃないかと。そういうバンドにいるというのは、やっぱり楽しいですね。昨日は、それが再確認できました。 H:5月にもツアーをやるんですけど、それもオールスタンディングの会場を多く選んでいるんですよ。それはなぜかというと、かしこまった席でライブをやるとスタンディングの会場と比べて、どうしてもお客さんから与えられるパワーというのが少ないから。昨日は、お客さんのパワーを肌に感じてそれを2倍にして返してあげて、それがまた2倍になって返ってきてという、やりとりを実感しながらやれてよかったです。 ●ニューアルバムから4曲やってましたが、「新曲発表会」とツアータイトルにも付いているから、もっと聴けると思ってたんですけど。 U:結構、やっている方だと思いますよ。 M:今回、サービスいいよね。エンディングにテープで1曲流してるしね。 H:実は、7分ぐらいの長い曲をエンディングに流した後、アンコールの声がまたあったらもう一回出るつもりだったんですよ。そのために橘高と二人で特攻服まで自前で作って、頭固めてリーゼントにして、橘高もちゃんとヤンキーの化粧をして、それで楽屋の裏で待機してたら、「客はもう10分の1ぐらいしかいませんよ」だって(笑)。寒〜い空気が楽屋に吹いてましたねぇ。 ●(笑)それは悲しすぎる。 H:せっかく、みんなを喜ばそうと思って、東京で刺繍(ししゅう)屋さんに「二日で作ってくれ」って電話までして作ってもらったのに、甲斐ないですよ。 M:橘高はしきりに怒ってましたよ。「最近のファンはアンコールのやり方を知らない」って。 U:あんな長い曲かけるからだよ(笑)。 H:よく分かりましたね、うちのお客というのが(笑)。もう、きっとクタクタなんですね。 ●じゃあ、演奏した新曲へのお客さんの反応はどうでしたか。 U:新曲なもので割と一生懸命弾いてたんで反応を見てなかったんだけど、「子犬〜」は反応が良かったと橘高が言ってました。…頭の「トゥルー・ロマンス」は盛り上がりましたね。前に武道館で1曲目に新曲で「リルカの葬列」を初お披露目でやって、「ちょっと失敗したかな」って(笑)。その時は、頭に新曲をやるのはまずいかなと思ったんですけど、今回はうまくいきました。 ●昨日のライブで大槻さんと橘高さんが年内にもう1枚アルバムを出すと言ってましたが…。 H:言ってましたねぇ。恐ろしいことを。 ●メンバーの間ではそんな話はないのに、いきなり大槻さんと橘高さんが口走ったんですか。 H:でも、まだ10枚作れますから大丈夫ですよ(笑)。 ●じゃあ、期待していていいんですね(笑)。 H:きついこと言いますね(笑)。まあ、やれと言われれば。 ●最後に、今後の筋肉少女帯というバンドに対する意欲を聞かせて下さい。 H:いつまでも熱くたぎるものがなくならないように、やっていきたいですね。 U:わしは、極悪ベースを弾き続けるのみじゃ(笑)。 H:ベテランバンド頑張ります(笑)。
(撮影・佐藤潤一) |