真矢



ドラムセミナー Report 1997.9.22 大阪ウォホール

 「俺が教えても俺のコピーロボットにしかなんない」とインタビューで語っていた真矢のドラムセミナー『RHYTHM MANIA』。その最終公演が大阪ウォホールで行われた。
 開場と同時に走るようにステージ前の席を確保するのは、甲高い声を発する少女の軍団。やっぱりドラムセミナーといえども”ルナシーの真矢“ということで、熱烈な”真矢ファン“という客が席の大半を埋めているようだ。セミナーらしくプレイヤー系の男性ファンも少なくはないのだが、完全に彼女達に押されてしまっている。  客電が落ちると気取ることなく自然体でステージに現れた真矢は用意されたドラムセットにスタンバイし、いきなり壮絶なドラムソロを開始。容赦なく繰り出される迫力満点のドラミングには圧倒されるものの、そこからは威圧感のようなものよりもしっかりと彼の体温が感じられ、それまで黄色い声援を送っていた少女達もじっとステージを見守っていた。  
 そんなパワフル&ハートフルなソロが終わると「本日は真矢の爆笑ドラムセミナーへようこそ」とひと言入れる真矢。そして、その言葉を実行するように司会者やお客さんを相手に、笑いのツボを的確に押さえながら、とにかくしゃべる、しゃべる、しゃべる。さっきまでのド迫力のソロを見せつけた
 ”ドラマー真矢“とのギャップを感じずにはいられない…。
 やがてメニューは入場時に書いてもらったお客さんからのドラムに関する質問に真矢が答えるというQ&Aへ。まず、ここで僕が最初に「客席を埋めているのが熱烈な”真矢ファン“の女の子ばかり」と思ったことを謝らなければいけない。ステージ前を陣取ったセーラー服の女子高生も、派手な衣装を着たお姉さんも、決してただの”熱烈なファン“ではなかったのである。彼女達が真矢にぶつけた質問の内容は、ドラマーとしての彼女自身の悩みの相談だったり、真矢の細かなドラミングについてだったり、真矢自身さえも気付いてない手グセの指摘などで、”熱烈“だけでは耳には入ってこないようなフレーズまで聴き尽くし、本当にルナシーの音楽やドラムという楽器を愛している人達だった。また、常に爆笑トークを繰り広げていた真矢だが、いざ質問に答えるときは真剣そのもので、プレイヤーとしての彼の真摯(しんし)な姿を垣間見ることができた時間でもあった。
 そして、今夜のメニューの最後を飾ったのは、インタビューでも言っていたようにギターとベースを迎えてのセッション。大筋だけを決めて、全くのインプロビゼーションで行われたそのプレイからはプレイヤー同士の緊張感だけでなく、わき出た感情までが音となって放たれ、ステージから「おっ、そう来たか」という声が聞こえてきそうなぐらいに、お互いが顔を見合わせては笑みをこぼしていたのが印象的だった。
 「音楽は楽しむもの」というのを体とトークで伝授したこのドラムセミナー。それだけにプレイヤーでなくても楽しめたし、音楽を楽しむことにおいては「自分が感じる」ことが重要であることも再確認できた。そして、何より明確に伝わったのは、真矢自身がこういう気持ちでドラムに向かい、何も気負うことなくスティックを握っている、テクニック指向ではなく、感情優先のプレイヤーであるということだった。  

 今、真矢はソロワークスの中で未体験の刺激を受けることによって、今までにない自分を感じ取り、セミナーでは自分のマインドを伝えるとともにドラマーとしての自分も見つめ直し、プレイヤーとしての器をどんどん広げていっているようだ。ということは、その成果が発揮されるルナシーの始動への期待はふくらむ一方である。他のメンバーが一足早くいい結果を出しているだけに、きっとそのときには真矢の予告通りの200倍カッコいいバンドになって帰って来てくれることだろう。