筋肉少女帯


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筋肉少女帯

 新作『キラキラと輝くもの』のキャンペーンで大槻ケンヂ&橘高文彦が来阪した。本誌のインタビュー前にはTV番組「J-ROCK ARTIST BEST50」などの取材もあり、そこで絶好調にしゃべりまくった二人。余裕でタイムテーブルをオーバーし、本誌の取材時間に食い込んできたのは言うまでもない。僕は焦りながらも頭の中で時間配分を考えつつ二人に挑んだのだが、やはり話はバンバン横にそれていく。しかも、またその話が面白いのだ。思わず話の流れを戻すことを忘れ、そのまま帰ってこれなくなった話題も多々あった。そんな話も少し入れながら、MCAビクター在籍時の音源を集めたベストアルバムについてのエピソードや、現在のJロックシーンに対する彼らの考えなども活字にしたので、筋少ファンでなくても楽しめることだろう。


●昨年2月に『筋少リベンジ!新曲発表会』と題したツアーが行われましたけど、その時の大阪ウォホールで、大槻さんと橘高さんが「年内にもう一枚アルバムを作るぞ」って言ったの覚えてます?
橘高文彦(G):ハハハ、そういえば、言ってた言ってた。
●ちゃんと年内に『キラキラと輝くもの』というアルバムが出たんで、落とし前つけたのかなと思ったんですけど。
大槻ケンヂ(Vo):落とし前…そうですな。
橘高:筋を通したって言うんですか。有言実行な二人がね(笑)。
大槻:年に二回ツアーをやりたいと思ってたんですよ。結局一回になっちゃったんですけども。ツアーを二回やるためには、二枚アルバムが必要となってくるんですよ。
橘高:俺は、筋少が『ステーシーの美術』を出すまでに二年リリースがなかったんで、解散したとかよく言われたんで。年に二枚も出したら活動してるぜっていうのが、アピールしやすいかなっていうのもあって。
大槻:あと、あれだな。俺は本を書いて、それと筋少をやっているんで、筋少のメディアミックスというものを図って、『ステーシー〜』は筋少のアルバムタイトルと俺の書く小説のタイトルを同じにしてみたんですが、あまり効果がないということが分かった(笑)。それによって二回ツアーができるような状況にはならないということが分かり、やはりアルバムを出さないとこりゃダメだわいと思った次第です。
●その『キラキラと輝くもの』のサウンドが、まさしく筋少といった感じなんですけど。また、なぜこういうアルバムを作ろうと思ったんですか。
橘高:前作の『ステーシー〜』を作った時にですね、非常にセルフプロデュースの到達感というか、「ああ、ちゃんとした一枚を作れたな」っていうのがあったんですよ。で、その”ちゃんとした“ってところが、何が”ちゃんとした“ものなんだろうっていろいろ考えましてね。あのアルバムでは、すごいまとまりのある作品として非常に聴きやすいというか…今思えば「あら、いいじゃない。聴きやすいじゃない」みたいなものを狙ってたと思うんですよ。きっとね。今までそういうアルバムを結局一枚も作れてなかったんで、前作を作ったことで一段落っていうか、すごい自分たちでも安心したんです。で、「今回はどうしよう」と思って、俺は過去十枚あった旧作を全部聴き直してですね。「何が筋少なんだろう」と思ったら、やっぱり『ステーシー〜』はまとまりのあるいいアルバムなんですが、アクがちょっと弱かったかなと。
●聴きやすくした分そうなったんでしょうね。
橘高:うん。”アクの弱めのアルバム“っていうのがあのアルバムの売りに今後なればいいかなと思うんですけどね。だから、逆に今回はアクの強い、何でもありのごった煮的な(笑)。筋少の一番の魅力は、そういう混とんとした部分っていうのがあるのではないかと。それぞれのプレーヤーが好き勝手やってるかっていうね。前作はまとまる方向に意識してアレンジもしてたから、今回はもうみんな好き勝手にやろうと。前作とは全く違う感覚ですね。「まとめ過ぎず」っていうことも意識するのも、ここまで意識したのも、筋少史上珍しいです(笑)。
大槻:俺は、前作の方が筋少らしいような気がするんスけどね。
橘高:うん。だからそれは筋少の取り方だよね。
大槻:そうなんだなぁ。メンバー間でも違うからね。
橘高:今回は俺が思う「筋少らしい」ってことでまとめたってことですね。
大槻:それは面白い。俺の中では、ドラマ性とかトータル性とかいうのから考えたら『ステーシー〜』の方が筋少らしいという印象があるんですが。今回は割と異質な感じが、自分の中ではあったんだけれど…。
●やっぱり大槻さんは歌詞を書いているんで、前作だったら歌詞にも「再生」というコンセプトがあったからじゃないですか。
大槻:そうかも知れないですねぇ。
橘高:歌詞の面から見れば分かるね。前作は歌詞が先にあったから、非常にそういった大槻的な筋少らしいコンセプチュアルなものが確かにあったからね。
大槻:だから何をもってそのバンドと見るかということがあって。例えば、実はレッド・ツェッペリンをジョン・ポール・ジョーンズのベースだと思ってる人も中にはいるかもしれない。
橘高:いるよ。俺は確かにそう言うヤツに会ったことある。
大槻:そういうのがあるから、そこでしょうな。何をもってバンドと解釈するか。筋肉少女帯の場合は、今まで「歌詞をもって筋少と解釈する」というとらえられ方が多かったんですが、今回は「それはサウンド班に任せたぜ」っていう気持ちがとてもあったんですな。
●任せたってことは、アルバムの方向性とか。
大槻:うん。まさにベクトルをサウンドの方に持ってっていう気持ちはありましたね。
●そこで大槻さんが「ハードロック私小説」という詞を今回書いてるんですか。なぜ、今回そういう歌詞を?
大槻:あのね、それはね、ぶっちゃけて言っちゃうとね、「ハードロック私小説」っていう言葉を自分で造語として作って、それを自分で気に入ったからなのね。実は「ハードロック私小説」は昔から書いてたんですよ。ただそういう言葉を作ったんで。
●CDの帯にも「ハードロック私小説」って書いてますしね。
大槻:最近、帯のね…。
橘高:それ言う(笑)?
大槻:何で?
橘高:あんまし言わない方がいいと思って。
大槻:そう?
橘高:まあ、でもそれは大槻の判断で。
●何なんですか? 教えて下さいよ。
大槻:帯の文って僕が考えてるんですよ。
橘高:いないでしょ、そういうの(笑)。
●普通はレコード会社がダーンと大げさにコピーを作っていますけどね。
大槻:それで時々ギャッていうのがあるんですよ(笑)。
橘高:(笑)要はそれが怖いんだよね。
大槻:あれはねぇ、買う側の立場になるとね、いいんだよ。どういう時に買うかっつったらさ、「代表作を含む」とか「バンド史上の中で名盤と言われている」と書くと買うんだよな。一見(いちげん)さんは。
橘高:何を買おうかなっていう時にね。
大槻:うん。だから手を変え品を変え、ソロの時からそれをずーっとやってるんですけど大変ですよ。「自信作」「代表作」「究極の傑作」(笑)。
橘高:「最高傑作」。
大槻:もう出尽くしたわいっていう。一回ぐらい「地味だが結構いい」とか(笑)、そういうのをやったら。
橘高:逆プロモーション帯ね(笑)。
大槻:怒られるかね? 「駄盤と言われているが、好きな人は好き」とかさ。
橘高:「ちょっといいアルバム」(笑)。
大槻:うんうん。
●(笑)かえって目を引きますよね。
大槻:「マニア向け」とかさ。
橘高:「きっとお前ら買わないだろうけど、こういうのもあるよ」とか。
大槻:そういうのいいんじゃないですか。
橘高:ほんとだな(笑)?
大槻:それいいなぁ。正直に出すっていいなぁ。


●寺山修二さんの映画で「書を捨てよ、町に出よう」ってあるじゃないですか。あれを観た時に、バックに流れてた音楽が、サイケデリックで混とんとした中で、歌が自分を責めるように叫んでいて、この世界が筋少のベースにあると痛感したんですよ。
大槻:いやいや、もうねぇ、澁澤龍彦とか、夢野久作とか、寺山修二といった路線で筋少を語ることを、俺はやめにしてえなあと思ってんですよ。あれはね、やっぱりね、カルトジャンルなんですよ。それを好きな層ってのは、時代は変われどもずっといるのね。あそこら辺のものが根底に、筋少にあるのは確かなんだけど、あえてもう自分からあんまり言いたくないのね。と言いながら『キラキラと輝くもの』のジャケットは江戸川乱歩の「パノラマ島奇談」の表紙をそのまま使わせていただいたものなんですけどね(笑)。
橘高:ハハハ、自らまた乱歩の話をしろと言ってるようなもの。
大槻:でもね、ほんと困っちゃうのはね、僕はよくそういうものが好きだって言うんですけどね、やっぱりね、カルトジャンルなんだよね。でもなー。「そういうのが好きだっていうのはダサイよ」っていうのを、もうみんな気付いた方がいいね。ダサイことを気付きつつ、好きだっていう気持ちを持たないとね。単純に「寺山修二に影響されたんです」って言うことはね、すごく恥ずかしいことなんだよね。「あー、その筋ね」とか言われて一刀両断されるのね。俺はいろんなものに影響されて、「これはいいよ。あれいいよ」って言ってんだけど、みんな読むのは乱歩と「ドグラマグラ」なんだよなー。他にもいろんなものを推薦してるっていうか、「面白いよ」って言ってんだけど、絶対読まないね。とにかく乱歩と「ドグラマグラ」なんだよ、みんな。
●最初の話に戻るんですけど、その人たちの持っている「筋少らしさ」っていうのが、そこなんですよね。
大槻:それは浅いんだな、うん。
橘高:でもそれはもうしょうがないじゃない。
●で、筋少ってそういう世界をベースに持ちながら、ハードロックやプログレッシブサウンドをやっているのが僕は面白いバンドと思うんですよ。
橘高:必然的にそうなっちゃうんですけどね。
●結構、日本のロックバンドって、西洋のものをコピーしてそこから始まるでしょ。そうじゃなくて、大槻さんの持っている世界にそういうものを足して今の筋少サウンドがあるから、まさにJロックバンドだと思うんですよね。
大槻:でもね、やっぱり西洋のロックを取り入れてるんですよ、各自がね。ただ、格闘技で言うとリングスみたいなもんで、いろんなところから持ち寄ってる。で、ボーカリストが西洋のロックにそれほど染まってないので、無国籍なモノになってるんですよ。それが非常に他の日本のロックとは異質に見えてるだけですよ。
橘高:でも、それが一番日本っぽいんじゃない。日本の文化ってそうでしょ。何でも、ヨーロッパでも、アメリカでも、日本以外のものが全部「外国」っていう感覚で入ってきて、日本独自の文化になってる。だから、筋少なんて一番そういう意味では、日本らしいバンドかもしれない。
●『キラキラと輝くもの』をリリースした後にベスト盤が出ましたよね。それも『筋少MCAビクター在籍時ベスト&カルト』という、そのまんまのタイトルで(笑)。
橘高:MCAの部長が困ってたという(笑)。「あのタイトルは…」って。
大槻:あれ『MCA在籍時〜』にしたら、「ビクターを入れてくれ」っていう話があったの。
橘高:(笑)ホントに?
大槻:うん。で、「じゃあ、ビクターの犬をジャケット画に入れますか」って言ったら、「それはいらない」。
●(笑)この選曲もバンド側でやったんですか。
大槻:筋肉少女帯はレコード会社を移籍したんですが、俺のソロの契約はMCAとしてるんですよ。だから、ある程度権限があるんです。実はこのアルバムの企画書っていうのは俺が書いたんですよ。曲順並べて、バージョンも「いついつに録ってあるはずだから、あれを」って。
橘高:筋少って今までの旧譜の中で…例えばスタジオで15曲を録って、そこから12曲に絞ってという作業をやったのは『レティクル座妄想』だけなんですよ。だから、ベスト盤で未発表となっている二曲はその時の音源で…最初『レティクル〜』は14曲入りにしようと思ってたんですけど、俺が「この二曲削ったらすごくいいアルバムになるよ」と提案して、ボツにしちゃったようなもん(笑)。
大槻:えっ、そうだったけ? 俺が歌詞が書けなかったんじゃなかったっけ?
橘高:それもあったんだけど、その前から曲順も考えていて、大槻も困っているから俺が「やめよう」って言ったら、「おっ、乗った!」って(笑)。
大槻:うん。歌詞を書くのがヤになってたんだな、多分。
橘高:俺は曲順を並べて「この二曲がなかったら、いいんだけどなぁ」って思っていて、本城と内田に「この二曲ボツにしない?」っつたら、「そうだな」って。だから、今回発表されて俺はね、何かうれしくて(笑)。
大槻:あの内田の曲を聴いてどう思われました?
●GSっぽいというか、ムード歌謡っていうか、こんな曲をできるのは筋少しかいないと思いました。
大槻:筋少しかいない(笑)。
橘高:俺がなぜその時にこの曲をボツにしたかというと、その前のアルバム『UFOと恋人』の中に「俺の罪」という同じような曲があったんですよ。だから、それを二枚立て続けにやるほどGSバンドじゃないという理由でしたね。
大槻:あのころ本城と内田は、GSとかサーフバンドとかを結構まじめに関心を抱いていて…本気だったんですよ。で、佐久間正英さんとサーフGSバンドをやると。
橘高:ライブをやるという話になって、アルバムを作る話までなってた。それで内田は六弦ベースまで買ってた。
大槻:そうそう、もうマジだったんですよ。それに俺と橘高が…そのサーフィンに乗らなかったと。
橘高:うまいな、こりゃあ(笑)。
●前回のジェイロックマガジンで内田さんが筋少のことを「すたれていく恥ずかしいロックを平気でできる貴重なバンド。そういうバンドにいるのは楽しい」と言っていたんで、今回は内田さんの曲を聴いて、うなずいてしまったんですよ。
大槻:内田がそんなことを…でも、あの人は言ったことを本気で言っているとは限らないですから(笑)。
●そうなんですか(笑)。すごくカッコいい言葉だと思ってたんですけど。
大槻:うん。取りあえずインタビュアーの方に気を使って、何かしゃべろうとしている場合が…そこまで言っちゃあいけないかな(笑)。内田ね、こういうの読むとね…。
橘高:怒るんだよね。内田のネタを”(笑)“でいくと、ちょっとね。
●じゃあ、大槻さんと橘高さん自身は筋肉少女帯というバンドをどう思ってるんですか。
橘高:筋少ねぇ…俺はですね、今回のアルバムはそのテーマでまとめたんですけど、サウンドプロデュース的にはね。みんながいつまでも自分のプライドと欲を持っていてほしいなと。それを変わらずに持っててくれれば、いいアルバムになるというのを今回のアルバムでやってみた。だから、刺激のし合いとかが…例えばミュージシャン同士が「俺はこういうヤツだよ」というのを音で示し合ったりして、戦い合っていたわけでしょ。その姿勢というのが俺は結局旧譜を聴き返した時に思った「筋少らしい」部分だったから、他のメンバーから見ても分からない各自のプライドというのをいつまでも誇り高く持ってやってくれていると、非常に面白い楽曲になるからね。そんなバンドだよね。
●メンバー同士が刺激し合えるバンドだと。
橘高:みんながそれぞれに持っている方向性は「筋少こうやったら、もっといいじゃん」って本気で思ってやっているんだよね。だから、そうあり続けることが筋少道だと思いますが。
●大槻さんは?
大槻:取りあえず筋肉少女帯の「帯」の字を間違えられなくなるまでは、頑張りたいと思いますね。
●まだ、時々ありますからね。
大槻:いや、時々じゃなくて、最近すごいっスよ。「帯」の字を間違える第二次世代というのが。
橘高:学祭とか行くとね。わざわざ看板とか作ってくれるんだったら、「帯」の字もちゃんとしてくれよっていう(笑)。
大槻:『ミュージックパーク』も間違っていたし、『リングの魂』なんて二週に渡って間違っていた(笑)。しかもね、そのフォローが別のプロレス雑誌でされたんですよ。「”帯“の字が”隊“になっていた。本当は”帯“である」って(笑)、「本人は結構気にするタイプだと思う」とまで気を使っていただいてるの、プロレス記者に。


●この間、真心ブラザーズに「ロックとは何?」という質問した時に、大槻さんの話が出たんですよ。ライブでダッチワイフを持って来て、曲の終わりにそれをフォールして、ギターもベースも一緒になって「ワン・ツウー・スリー、勝ったー」ってすると、お客さんもみんな「イエー」ってなるから「ロックはいいな〜」って大槻さんが言ってたって。
大槻:あぁ、あれはよかったなぁ。すごい一体感を感じたんだよな、俺。
●大槻さんにとってのロックって、”一体感“?
大槻:ロックねぇ…俺はロックとは音楽の一ジャンルに過ぎないと思ってますね。で、時代に対してのカウンターな威力はもうない。それは60年代、70年代でもう終わっていると。しかしながら、これから自我を形成しようとしている少年少女…いわゆるキッズと呼ばれる層にはカウンターな威力がまだ十分にあるんですね。だから、俺はロックによって時代を変えることはもうできないと思ってます。もう無理ですよ。だけれどもロックによって人間ひとりの人生は変えることはできると思いますね。時代に風穴をあけることはできなくても、キッズに風穴をあけることはできる。
橘高:最近のロックって平気でミリオンセラーを出すバンドやアーティストがいるじゃないですか。これってすごくいいことだと思っているんですよ。俺たちがキッズのころのロックって、みんなカウンターなものとなるものの表現者になろうとしたけど、そこにサクセスストーリーみたいなものがなかった。昔のアメリカンドリームみたいな。今はそういうのがあるでしょ。だから、いい人材がこっちの業界に来やすくなったんじゃないかな。「ロックなんかやめて、これをやりなさい」って親の言う通りに堅い仕事に就くよりも、すごいサクセスが待っているかも分からないというのがあるよね。
大槻:今の10代の読者には信じられないことかもしれないけど、我々が10代のころロックバンドでデビューしてメシを食うということは、まず可能性でいうと0パーセント以下だったんですよ。
橘高:ギリギリ俺らまでは「食えなくてもやりたいのか」「ハイ」と言えるヤツしかやってなかったよね。
大槻:我々が最後の世代でしょ。我々の後からなんとかなるようになっちゃったんだよね。
橘高:バンドブームとかはいい意味で、そういうのが残ったということになるんだよね。企業がちゃんとバンドとかに取り組むようになったからさ。
大槻:あのね、どんどん法則というのが分かってきたんだよね。日本のロック市場で売れるには”若さ“と”ルックス“というのが非常に重要なんですよ。あとは才能なんだけど…歌詞が重要。それと歌のうまさね。同じぐらいの力量だったら、歌のうまいヤツが勝つ。それも同じだったら、顔のいい方が勝つ。そして、若い方が勝つ。歌詞のいい方が勝つ。でね、「これはひどい歌詞を書いているよ」というのでも売れる人がいてね、その人は何がすごいかというと人間力なんだよね。これは説明するのが難しいんだけど…。
橘高:カリスマティックとか?
大槻:あっ、そう。カリスマ性がある人なんだよね。だから、ポンとデビューした人が売れる売れないというのが、分かってきちゃうんだな。
橘高:俺らが小学生の時にあった歌謡界というのが、今の日本のロックだからね。だからロックバンドであれ、何であれ、ブラウン管に映った時にルックスが良ければオッてなるしね。
大槻:イベントやると分かっちゃうんだよ。売れる売れないというのが。何年か前にビジュアル系のバンドとやったことがあったんですよ。で、その時に分かっちゃったんですよね。「このバンドは売れるな、これはダメだな」って言っていたのが、今その通りになってんのね。
橘高:だから、俺らもそろそろ事務所開いて売れそうなバンドを…。
大槻:あっ! それである程度のキャリアになるとみんな事務所開くのか。
●筋少の今後の予定というのは? ここでツアーの話を聞きたいんですけど、この号が出るころには終わってるんですよ。
橘高:じゃあ、まず1月29日に「小さな恋のメロディ」という曲をアルバム『キラキラと輝くもの』からシングルカットします。アルバムには内田の曲がなかったんですけど、これのカップリング用に内田が書きまして、新録した曲が入ってます。で、その後に東京と大阪だけですけど『筋少チャン祭97』。東京四日、大阪二日やります。東京は三月末で、大阪が四月ごろかな。
大槻:うん。あぁ、内容を考えないとね。
橘高:あさって締め切りだっけ?
●まだ「内容を考えないと」と言っているんだったら、これ以上は聞けないですね(笑)。
橘高:何度も『筋少チャン祭』という、いろんな筋少の魅力満載なイベントをやってたんですが、それをまたやろうと。今年、何をするのかはお楽しみですね。
●じゃあ、最後にもっと大きな視点で、「今後の筋少」というのは?
大槻:あのね、筋肉少女帯の中で一番変化していくのは俺だと思っているんですよ。他の人は音楽的なルーツとか固まったものがあって、ポリシーもそんなに変わらないんですが、割と俺はコロコロ変わるんですよ(笑)。だから、それに沿ってバンドが動いていくような気がするんだけどなぁ。別に俺の主導型というわけでもなくて…。
橘高:バンドの変化面というのは大槻のものが如実に現れるし、他のメンバーは分かりませんけど、俺個人としてはロックの初期衝動…いつまでもドキドキとした気持ちのままやってられるというのが自分のテーマだから、それを忘れないままね。それが型として伝統芸能として残すようなものだったらやめますが、変化とお約束のミックス型がその時々に出ていくんじゃないかな。
大槻:突然変異型で、メンバーのだれかが違う音楽性に目覚めるかも分からないよ。本当にそれはありますからね。「俺はコレだ!」って思っている人ってね、ある時に何かのきっかけで「それは違う」と思うと違う道をまっしぐらに進んで行ってしまうから。
橘高:そこまで今のスタイルに固執しているがゆえに、それを模倣する形となった自分というものにすごくシラけると思うのね。だから、全く違うものになる可能性もある…かな。
大槻:でも、いかなる変化があっても対応できるのが筋少じゃないかな。
橘高:それを強みにしていけば大丈夫でしょうね。