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Valentine D.C. |
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12月19日、ヴァレンタインD.C.の96年ラストライブが大阪クラブクアトロで行われた。ワイン色に染まるステージにスモークがたかれ、おなじみマリリン・モンローの「I
WANNA BE LOVED BY
YOU」がゆったり流れ始めると、一斉にメンバーの名前を呼ぶ声が響き始める。1コーラスが終わったころには、Takeshiを先頭にNaoya、Junが姿を見せ、オープニングナンバー「Hear
This
Booing」のイントロと共にKen-ichiが飛び出してきてマイクを奪うように握り締めた。ストレートな歌詞とザラついた肌触りを持つロックが一体となったナンバーは、飾り気のなさを魅力にして真っすぐ届けられる。続く疾走感あふれる「追い風」、さわやかなポップロック「それぞれの星見上げて」など、いきなりヴァレンタインD.C.の持つ幅広いサウンドを次々に聴かせる構成に驚いていると、さらにKen-ichiがボーカルの力量をこれでもかとばかりにたたきつけてくる雄大なロックバラード「EASY
ANGEL」が披露された。
●唐突なんですけど、ヴァレンタインD.C.ってどういうバンドですか。 Ken-ichi(Vo):何やろね。バンドはいつもいい状態で、どんどん進化しながらいい感じになって来てるけど、「どういうバンド」っていうのは自分らでは言いにくいなあ。いつも言ってるけど、ロックバンドとしか言いようがない。一人ひとりのプレイとかそういう細かいことで言ったら、二人とおらん感じはする。自分の声も含めて。モノマネじゃないってところはすごく感じてる。 ●周りはヴァレンタインD.C.に対してどういう印象を抱いてると思います? Ken-ichi:熱い、じゃないかと思う。メンバーが持ってるもんやライブとか表現する場ではすごく熱いって。俺らはいつもその熱さが感動につながればと思ってるし、いい音楽をやってるつもりやし、説得力もあると思ってるし、プラス精神力で何かをカバーしようともしてる。そういうところは他(のバンド)よりもあるんじゃないかな。 Naoya(G):サウンドにしてもライブにしても、人間的なところは一番表面に出てると思うんですよ。何でもウソくさいことはただの薄っぺらなもので終わってしまうような怖さが自分の中にあって、だから音にしても「手から出した音がそのまま伝わればいいな」とか思いながらやってる。昔からずっとそういう気持ちがあったんだけど、それが具体的にできるようになってきた。 ●それはバンドとしても? Naoya:まあ、ビジュアル的には明らかにに違ってきてるけど(笑)。でも、音楽に対する姿勢とかは昔から変わってないですよ。 Jun(B):サウンドも変わってきてるけど…。今、途中なんですよね。一番聞かれて困ってしまうところ(笑)。 ●変わりつつあるってことは作品を聴いてても感じますよね。96年にリリースされたミニアルバム『BRAND V.D.C.』あたりから、伝わってくるものがストレートになってきてるし。バンドとしてのやりたいことが明確になってきてるように思いましたけど。 Jun:『BRAND V.D.C.』ぐらいから自分たちの気持ちをダイレクトに音として伝える技術が、うんとグレードアップしたような気がします。その前は音色一つを作るにしても、基準が曲に対する世界観とかで。もちろん今もそこにこだわりを持ち続けてはいるけど、その基準になる部分がすごく変化してきた。 Naoya:「今はこんな感じのをやりたいんだあ!」っていうのが、より具体的にできるようになったと思うんですね。このメンバーで一緒にいる時間が長かったし、最近は常に同じ行動をしてるから、そういうところでの意思疎通がよりできてきたのもある。 ●そんな中で「ヴァレンタインD.C.らしさ」っていうのは、どういうところだと思います? Ken-ichi:うちはまだまだ模索中というか、かなり固まってきてるけども、まだ面白い音を常に追い求めてる感じがある。だから曲によってちょっとずつ違う部分もあったりすんねんけど。 Jun:らしさっていうのは他のバンドに負けてへんとこやと思うんですよ。それはみんな自分勝手にやってても、まとまろうとしなくても、ヴァレンタインD.C.っていうサウンドを出せるから。「みんなで一丸となって」とか、そういう気持ち悪い話はしたことないし(笑)。 Ken-ichi:俺らは好きな音楽があって、その瞬間に出したい音があって、その瞬間に訴えたい歌詞があるだけで、別に「ヴァレンタインD.C.らしく、ヴァレンタインD.C.ならこうやるんだよ」なんてことは今まで一回もやったことがないわけ。だからそういう意味ではファンに「変わった」とか言われてもね、それは俺らには分からん。だって一曲一曲自分らの中では変わってるつもりやからね。 ●でも、ファンのいろんな意見は気になるんじゃないですか。 Ken-ichi:あんまり関係ないと思ってる、そう言ったら冷たいけど(笑)。一回聴いてもらったら分かると思ってるし、それで分からんかったら三回聴いたら分かるやろうって(笑)。だって狙ったことはやってないからね。狙ってて文句言われたら肩身の狭い思いをするけど、堂々とやってることやからそれはない。「好みはあるやろなあ」と思ってるけどね(笑)。 Naoya:昔から僕らって楽曲の曲調は多面体っていうかいろんな方向性があった。ハードなものはすごくハードに、ポップなものはすごくポップにやりたいって。それが最近よりうまく表現できるようになったから、それぞれの曲がすごく顕著になってきてる。だから聴く人たちは「変わった」って感じるのかもしれないですね。俺らの中では取り組み方も、指向性も同じなんだけど。 Ken-ichi:ファンの意見を考慮して、いっぱいの意見を調和させようとすれば、よくあるバンドになりますよ。大人から子供まで聴きやすくて、歌詞も当たりさわりのない。でも、そうなってほしいファンはおらんと思う。バンドにはトゲを求めてると思うし、実際自分でも求めてるから。だからファンの意見を完全に聞かんってわけじゃないけども、できるだけ気にしないようにしたい。それを気にし出すとどんどん薄っぺらくなるから、それだけは避けたい。 Takeshi(Ds):10人いたら10人の意見があるじゃないですか。あんまり聞き入れ過ぎても自分たちの中で混乱するだけだしね。 Naoya:絶対自分たちを見失っちゃいけないなっていうのがあるから。 ●久しぶりのシングルが、「初恋」「LOVE HURTS」そして2月に出る「オアシス」と三枚連続リリースになったわけなんですけど、これには何か意味があったんですか。 Jun:詞の世界観に物語性があって、間髪入れずに出すことに面白味があるっていう。 Ken-ichi:音楽性には懐の広いところを見せつつ歌詞は全部”愛“のこと。いろんな見え方の愛を、かなりタイプの違う曲で三部作という形で。 ●シングルっていうのはヴァンタインD.C.にとってどういうもの? Jun:一番旬な部分であるのは確かなような気がしますね。そのアルバムとアルバムの間の過程が見えやすい。決してそれを意識して作ってるわけではないんですけど。 Ken-ichi:でも、みんなシングルとアルバムを分けるけど、一曲一曲は俺らの中で変わりないのね。 ●シングル曲になるとどうしてもその曲だけが目立ちますもんね。 Ken-ichi:そう、それが押しなんだろうとか、このバンドのすべてなんだろうっていうイメージが付いちゃうけど、それは避けたい。 ●でも今回連続リリースしたシングルは、バラエティーに富んでるから大丈夫でしょう。この3曲には、「いろんなタイプの曲を聴かせたい」って考えもあったんですか。 Ken-ichi:俺らから出るいろんな曲は聴かせたいけど、前にこうやったから次はこうみたいなことは考えてない。そうなるとホンマ狙い型になってくるからね。ただちょっとでも裏切りたいっていう気持ちはあるから、できた後に「あっ、あの後にこれ聴いたらおもろいな」っていうニヤリ感はあったけどね。 ●このシングル三枚のアレンジ面はどうだったんですか。もめたりしました? Naoya:うん! その辺はね、ホントこだわり持っちゃうんですよ。ホントにマニアックっていうか、好きだっていうところは音楽的にみんなあるから。ちょっとしたことで譲れないとかあったりして。 ●激しいんですか、ぶつかり合いは? Jun:激しいですよ、Naoちゃん涙目になってますからね(笑)。Naoちゃんは性格がやさしいから「それはダメ」って言うんじゃなくて「本当にこれで行くの?」って。だから僕のプレイやドラムのフレーズに対して訴えてきたときは、「これは違うっていう信号だな」って分かるんで、「うん、これで行くよ」って答えてあげるんです。(全員笑) Ken-ichi:でも最終的にメンバーから出たなら受け入れられる。俺らの中で何も出ないとよそから来るんですよ。周りの人間も仕事でやってるわけやから、ヤバイと思ったら「作詞家入れようか」とかなってくる。その前に何とか手を打たなアカン。 ●シングル「LOVE HURTS」からはいよいよセルフプロデュースになったんですけど、これは自分たちから希望して? Naoya:そうです。切望しました(笑)。 ●それはやるべき時が来たっていう? Jun:うん、蓄積してきたものでいけるなっていう自信がかなりあったんで。「今やらしてみましょうよ、僕たちを信じてくださいよ」って。まあ、周りの人たちが不安なのも分かる(笑)。 Naoya:でも信用しろと(笑)。だいたい頼る人がいたら本当の意味で成長はしないと思うんですよ。絵描きさんの絵に「この色は違うよ。この色だ」とか言ってそんなものを世に出すなんてっていうね(笑)。でも俺たちって本当にアーティスト意識が高いから、例えば卓(ミキサー卓)まで自分たちでいじれるぐらいのところまで到達したいと思うんですよ。やっぱり百パーセント自分たちのイメージしてる音を出すにはそこまでやらないと。そういう意味で、俺、坂本龍一さんって本当のアーティストだと思うんです。エンジニア入れずに全部自分でやってるから。だからいつになるか分かんないですけど、ゆくゆくはね。 ●最近のサウンドからは、メンバーの個性をすごく感じるんですけど。 Ken-ichi:うん、それもやっぱり『BRAND V.D.C.』から。 ●何かきっかけがあったんですか。 Ken-ichi:いろんな要素があったと思う。デビューして一年ちょっとたってメジャーっていう世界が見えたとかね。そういうのを全部引っくるめて『BRAND V.D.C.』で一気にドーンってはじけちゃったの。ええやん、カッコよけりゃっていう。それで自分らの中ではすごいカッコいいもんができたって思ったから、それから先はラクになったし、自信も持った。さっきNaoちゃんが「自分の手から出る音が伝われば」って言ったけどそういうことを昔は言わなかったし、それが出てきたのは自分を素直に出してもカッコいいってことが分かってきたから。俺もそう。昔は必死に歌ってなんぼやったけど、最近は力を抜いた歌い回しとかしても俺の声には変わりないっていうのがある。みんなそうやと思う。 Naoya:音楽の深さみたいなものが『BRAND V.D.C.』ぐらいから、具体的に見えるようになってきたのかな。それまでプロデューサーとしてずっと同じ人が関わってくれてたんですけど、そこで音楽に対する気持ち的なところを学んだような気がする。変わってきたのは、その辺から。 Ken-ichi:うちってやっぱり演奏がうまい。でもそのうまいのが逆に足引っ張ってた。きっちり合わすことがうまいと思ってたし、テクニックを披露することがうまいって思ってた時代もずっとあったからね。だけどそれはほっといても出せるもんであって、グルーブにはならんのよね。でも『BRAND V.D.C.』あたりからその一歩上にやっと行けた。 ●メンバーの個性が明確になった分、バンドのカラーもはっきりしてきましたよね。 Jun:正直な話ね、「BRAIN GAME」まではサウンドプロデューサーと相談して「この曲に対するアプローチは…」っていう話し合いがあったんですよ。「僕はこういうふうに弾くつもりです」っていうのに対して、「いや、それだと歌と当たるから」とか「ベースはこういうふうに弾けば」とか。その時はやってみて、「そういうのもありだなあ」とか思いながらやってたんですけど、「初恋」以降は「すみません、好き勝手やります」って感じで(笑)。 ●「好き勝手やります」ってやったら、今みたいなメンバーの個性がぶつかるサウンドになったってことは、これがバンドとしてやりたかった音というわけですか。 Jun:ずっと昔に戻っても好きなことはずっとやってるんだけど…。 Ken-ichi:今まではメンバーから発信されたものが、一回フィルターを通るっていうのがずっとあって、それはそれで良かったの。自分ら以上のものを出してくれる可能性もあるし。まあ、それ以下になるかもしれへんけど(笑)。とにかくそれにかけてみる価値があった。その中で俺らはいろんなものを見てきて、勉強してきて、そしてお互いがぶつかった瞬間のカッコよさっていうのを、音として何とか伝えたいというのが出てきた。別にロックイコールぶつかることとは思ってないけど、ぶつかるカッコよさっていうのは絶対に昔からある。それも聴かせたいと思うし。でも、これは今までのエンジニアやプロデューサーが悪いってことを言ってるわけじゃないよ。 Naoya:学んだとこも同じぐらいあります。 Ken-ichi:あの人らは経験と知識からモノを言うてるけど、俺らは経験と知識がない分、とにかくやるしかない。 Naoya:だから「初恋」からは、今まで学んできたことや自分たちの中で眠ってたことを刺激しながら、発想の段階から自分たちでやってる。 Jun:メンバーと周りの関わってくれてる人たちとの戦いもありつつ、その中でお互いしのぎ合っていいものを出していける環境は、最近の音にもちょっと出てきてるかな。 ●「LOVE HURTS」は、ハードロックバンド、ナザレスのカバーなんですけど、原曲の方も気になって聴いてみたんですよ。それが意外と軽くてビックリ。ヴァレンタインの方が濃過ぎるぐらい濃かった(笑)。 Jun:ナザレスって結構サラッとやってるでしょ。絶対勝ってる! ●聴く前は原曲の方が濃いんだろうなって思ってて。 Ken-ichi:歌詞も俺らの方が濃いもん(笑)。でもみんなにもそういうふうにして聴いてほしい。俺らだけ聴いて終わっちゃうんじゃなくてね。俺かって昔ハノイ・ロックスが好きやった時代には「ハノイは何聴いてたんやろ?」ってどんどん戻っていったもん。ハノイがC.C.R.を聴いてたって知って、聴いてみたらハノイとは全然違う。「こんなんホンマに聴いてたんかな?」って思ったけど、どんどん好きになる。そうやってハノイが好きやったもんを俺も好きになることによって、少なくとも精神面でハノイとは同一になれる。でもハノイばっかりを好きって言ってると、いつまでたってもハノイを越えられない。だからそういう意味でヴァレンタインのルーツとかを聴いてもらって、「だからこういう音が出てきたんやな」と思ったら、面白味も増えるし。もっとそうなってもいいと思う。 Naoya:音楽的な懐は深くなるよね。 ●じゃあ、ヴァレンタインD.C.を知る意味で聴いてほしい作品ってあります? Jun:Naoちゃんはラットです。(全員笑) Naoya:何でみんな笑うの? Ken-ichi:何でやろなあ(笑)。何で不思議とカッコ悪く聞こえるんやろ。ラットなんか一世を風靡(ふうび)してんから、全然おかしくないのに(笑)。俺もホンマ言うたらサザンオールスターズやけど、ロックのルーツというとやっぱりハノイとかダムドとかパンク系を言ってしまう。何かバンドによって、薄っぺらいイメージで聞こえるってあるよなあ。でも、今まで気をつけて言うてたつもりやけど、28歳にもなると、「俺はサザンが好きになってんから、もうしょうがない!」ってなってきたけどね(笑)。 ●でもそういうのは正直に言ってくださいよ(笑)。そうじゃないと全然バンドやメンバーのルーツを探ることにならないじゃないですか。 Naoya:じゃあ、ラットです! ……やっぱり、ちょっと待って! ●何ですか(笑)。 Jun:自信を持って言わなきゃ(笑)。 Naoya:こうやってあわてる俺もなんだか情けないな…。ラットが再結成するって聞いてうれしいし、本音は全然恥じることないはずなんだけど(笑)。 Takeshi:俺はロックを聴き出すのが遅かったんですよ、高校入ったぐらいから。でもジャパメタ(ジャパニーズヘビーメタル)ばっかりだったかな。アースシェイカーとか。 ●音楽雑誌の意味って、こうやってアーティストのルーツを知るところにもあるんですけどね。 Ken-ichi:そうそう。でも今は好きなアーティストの曲さえ聴ければいいっていうとこあるでしょ。だって安室奈美恵のルーツを聴こうというヤツはあまりおらんと思うもん。安室さえおればいいっていう。今、音楽って普通の人にとって深いもんじゃなくなってきたのかもしれへん。精神面まで揺るがすようなものじゃなくなってきて、本当にどこでもかかってるものであって。 Jun:今はカラオケですね。音楽がカラオケの素材っていうイメージがすごく強いから。 ●悲しいことを…。では、最後に「オアシス」がリリースされると、いよいよアルバムなんですけど、このシングルみたいなバラエティーに富んだ楽曲の詰まったアルバムを想像してていいんですか。 Ken-ichi:今回もでき上がった時、かなりニヤリとしたよ。俺らは期待を裏切るのが好きやから。作る時からじゃなくて、でき上がったものに対してね。 ●このインタビューは1月末に出るんで、アルバムを期待してる人にひと言ずつどうぞ。 Takeshi:買え!!(笑) Naoya:毎回言うんですけど今までの最高傑作ですね。「まだまだこんなもんじゃないよ」ってところの予告編的な感じ。まだまだ未来は広がってるなって感じると思う。 Jun:何かアルバムの中に「これは日本の音じゃないなあ」っていうのがあるんで、それは面白い効果が出てる。その辺は楽しみにしててください。 Ken-ichi:そのうちジェイロックで全ぼうを明らかにする!(笑) |