Brankey Jet City




●照井さんが今言われた「音楽家」って言葉は、ブランキーのインタビューでよく飛び出すし、あの音楽が生み出せる3人にはピッタリな言葉ですよね。だから、どうして3人がこういう音楽家になったのか、音楽というものに対してどういうふうに考えているのか、すごく興味があるんですよ。

中村:それは音楽が好きだからさ、アホだなぁ、君は(笑)。33年生きとるとさ、いろんな素晴らしい人とかいるじゃん、ジョン・レノンとかさ、ジミ・ヘンドリックスだとかさ、アマデウスとかさ…そういう人になりたいんじゃなくて、俺達もやりてぇなって感じなんだな。

●やりたいって思ったきっかけは何だったんですか。

中村:俺は…自然と細胞がそっちの方に向いて行ったって言うか。

●子供のときから音楽に親しんでいたとかではなく?

中村:うん、全然。無理矢理やらされたわけでもないし、ただそういう時代に生まれて…モダン・ジャズ・カルテットとか、映画音楽とか、まだ今気づいてないかもしれないけど、そういう音楽が染み着いとるんじゃない? そんで、やりたいんじゃない? やりたいんだわ、きっと。

●ドラムをたたきたいって気持ちが一番にあるんですか。それとも作品を作りたい?

中村:根本は、太鼓をたたくっていうか。みんなで音楽をやるのが好きなんだわ。

●浅井さんの最初の音楽体験は何ですか。

浅井:映画音楽かなぁ。『夕陽のガンマン』とかさ、『白い恋人たち』とか『男と女』とか、『太陽がいっぱい』とか名画の音楽を親が運転する車の中でよく聴いてました。

●音楽がカッコいいと思ったきっかけになったものは、また別にある?

浅井:小学校4、5年に聴いた、ビートルズとかショッキング・ブルーだとか、デビッド・キャッシディーだとか。

●それを聴いて最初に思ったのは、「音楽がやりたい」だったんですか。

浅井:うん、やれたらいいなぁと思った。でも、お金がないから、中1のときにお年玉でフォークギターを買った。

●その音楽に対してカッコいいと思った気持ち、初期衝動みたいなものは、今の浅井さんの中でも大切なものだという?

浅井:別に大切にしてるわけないじゃん、毎日毎日。でも、それがすべてなんじゃないかなぁ。それが始まりだから。

●照井さんはどうですか。

照井:ロックンロールに影響を受けたのは、小学校5、6年のときのビートルズだよ。

●照井さんもやっぱり「やりたい」と思いました?

照井:俺はやりたいとは思わんかった。興奮しまくっとった(笑)。

●よく幼児体験が影響するとか言うじゃないですか。ブランキーの音楽を聴いていると純粋に音楽が好きなんだなと思うので、そういうものが3人の中にも大きいのかなと。

照井:みんな、俺ん達の頭の中を知りたいんだよ(笑)。でも、分かるもんじゃないもん。

●そうなんですけどね(笑)。でも、そこをちょっとでも知りたいんですよ。例えば、今の3人は音楽のない人生なんてやっぱり考えられないのかなぁとか。

浅井:別に考えんでもいいと思うんだけどなぁ…。

中村&照井:ハハハハハハ。

中村:俺、ソプラノ笛吹くの好きだったなぁ。ランドセルしょって(笑)。ピーピコピーピコ。

浅井:……俺達にカッコいいこと言ってほしいんでしょ? でも、言いたくないんだわ。

●カッコ良くなくてもいいんですけど、ブランキーの音楽を聴いていて、どうしてこんなに音楽に対してピュアになれるんだろうな、こんなに音楽が好きなんだろうなと思うので、そこを聞きたいんです。

浅井:何で音楽が好きかってこと? そこに音楽があるからじゃないかな(笑)。

●ブランキーの音楽は、脳天気に聴き流せる音楽ではなく、感情を刺激してしっかりと何かを残す音楽だと思うんですね。そんな音楽を3人が作り出すということは、3人にとっての音楽がそういうものだからですか。

浅井:難しいこと言うなぁ…。

●感情を刺激する音楽を作りたいと思ってます?

浅井:もちろん、そうだよ。

●それは音楽をやり初めたときから?

浅井:ん〜…、最初のころはとにかくカッコいいなぁと思って、それに引かれてそういう世界に行きたかっただけで、それからやっぱり心に来る音楽が本物っていうか、何かそういうことに気づいたりしたけどね。

●音楽に対する自分の中での大切なものが、どんどん変わってきているという。

浅井:だから初めは、音楽を聴くと何か胸が踊るっていうか、何かごきげんになるっていう感じじゃん? それが何なのか分かんないわけじゃん? でも、それに魅力を感じてやり始めて、で、やってるうちに何かその音楽っていうのは心に触れてくるもので、そういう音楽がやれたらいいなっていう。口ではうまく表せないけど、カッコいいなとか、いいなとか、そういうのがある音楽をやれたらいいなって今も思ってるから。だから初めとほとんど変わってないかもしれない。

●中村さんも、自分がやりたい音楽やその音楽に対する気持ちというのは変わってませんか。

中村:大切なところっていうか…特に何も大切にしていないので(笑)。

●たたきたいという衝動のみ?

中村:衝動? う〜ん、知らん、台所に菜箸(さいばし)があったんだわ(笑)。そこから始まったのかな。でも、だれだってハシ持って茶碗たたくじゃん? チキチンチキチンって。

●でも、さっきソプラノ笛を吹くのが好きだったって言われてましたけど、そっちには行かなかったわけですよね。

中村:あれは、音符は読めないけど、音を探して、好きな曲を演奏できるように。

浅井:♪パララーララとかでしょ。そういうヤツおったもん(笑)。

中村:そう(笑)。俺、どっちかっちゅうと作るっていうか、そこにある音楽を自分でやってみるのが好きだったなぁ。ソプラノ笛で「太陽がいっぱい」をどうやって吹くのかなとか。これはどこの音かな?ってやりながら、吹けるようになっていくみたいな。

●ドラムでも同じような感じですか。

中村:楽器があって、持っただけだけど…楽器が好きだったんだわ。ただギターは、弾きたいなとは思ったんだけど、何か弾けるようにならんかった…。

●今も基本は、その気持ちが続いている?

中村:その音楽をやれるようになりたいという気持ちが大きいんじゃないかな? 大きいのかな? みんなで演奏するのは好きってだけだな。

●照井さんも、音楽から最初に受けた衝動を大切にしていますか。

照井:達也も言ったとおりさ、大切にするっていう気持ちが分からん。そういうものじゃないんじゃないかな。

●照井さんの中での音楽っていうか、ベースを弾くってことは、日常の出来事みたいな自然なものだという?

照井:日常と言えば、日常だし……俺が思うのは、インタビューする人達ってさ、こっちから言わせるとどういう頭の構造しているのか、よく分からん(笑)。言葉で全部割り切れてるのかなって思うもん。

●すべてが分かるとは思わないんですけど、どんなことを感じてどういうことを考えて音楽と向き合っているのかを少しでも知りたいんですよ。

照井:それがどんなにとんちんかんな言葉でもいいんだ? 

●うまく言えなくて言葉の断片であったとしても、伝わるものってあると思うんです。まず音楽ありきなのはもちろんなんですが、その音楽がすっごくカッコ良かったときに、その音楽をどんなメンバーがどんな思いで作っているのかを聞きたいという。

照井:それだったら、人柄とかを表現した方がいいじゃん(笑)。

●そうなんですけど(笑)、ブランキー・ジェット・シティの音楽をカッコいいと思って話を聞いているんで、音楽に絡めたいんですね。

浅井:だからさ、結局こっちが「う〜ん…」って頭ひねって無理矢理作った答を毎回毎回言うわけじゃん。そんなものを書いて、その人の人物像が浮かぶかなぁとか思うけどね。だから、もっと俺ん達がごきげんになるような自然なこと聞いて、何か自然な一面を載せた方がより読者に伝わるんじゃないかなと思ったけどね、今一瞬。「う〜ん…」って無理矢理言った言葉でいいの?

●無理矢理考えてもらってるかもしれないですけど、ウソではないですよね。

浅井:ウソかもしれんよ。ウソっていうか、不自然なものを書き連ねたところで、おもしろくも何ともないと思うんだけどね。でも、それが雑誌のやり方なんだったら、別にいいんだけどさ。

照井:インタビュアーはみんな不自然だよ(笑)。だって、こんなことを友達にさ、説明しても分からんで。どんだけ仲のいい友達に説明しても分からん。伝えきれんと思う。

●でも今、多くの雑誌に登場して、たくさんのインタビューを受けているのはどうしてなんですか。

浅井:いや、もう止めようかなと思ってる(笑)。好きに書いてくれるのはいいんだけど……出とりゃいいってもんじゃないじゃん。だから例えばアメリカだったらローリングストーン誌とかプライド持っとる雑誌があるじゃん? で、インタビュアーのプロがいて、ローリングストーン誌の表紙飾ったらミュージシャンもすごく名誉なことだと感じとってさ。向こうがインタビューをしたいから、取材に来たっていうかさ…。

●だから、話を聞きたくてこうして来たんじゃないですか。

浅井:それはそれでいいんだけど、まぁ、ジェイロックマガジンはそういうふうだと思うんだけど、こんだけやってると仕事でこなすだけのインタビュアーがほとんどだもん。もちろんそれはどこの雑誌見ても「このバンド目にするな。ああ、売れてんだな」と思って、数字(CDの売り上げ)が伸びるっていうのもあるんだろうけど、もっと本物のすごい音楽作って、その音楽が軸になって売れるっていうのがいいかなと思って。

●その音楽を説明するのに、言葉ではできないと?

浅井:うん、もう雑誌なんかには出ん!って書いといてくれりゃあ(笑)。

中村&照井:ワハハハハハハ。

浅井:やっぱ、たまにしか出ん!って書いといて(笑)。

●2人もそう思っているんですか。

中村:俺はこういうシステムになれ切っちゃったからなぁ(笑)。スレた(笑)。

●でも、中村さんもこうやって語ることに抵抗はあるんですよね。

中村:だってそんなこと友達にも聞かれんし。でも聞かれりゃいろいろ考えてもみんかったことを言うからさ(笑)。

●さっき「ダンデライオン」の話のときに、周りのリクエストに応えようとやさしくなりすぎたんじゃないですかって聞きましたけど、インタビューのときも同じような状況だという?

浅井:ああ、そうだね。インタビューでは特に今まで親身になって、一生懸命答探してたりしたね。だから要するにさ、すべてが違うんだわ。考え方の構造が違うって言うかさ。(インタビュアーが)言うことなすこと、「ん!?」ってなるんだわ(笑)。何か最後はふに落ちないって感じ。「どういうことなんだ、それ?」って毎回考えなきゃ、あかん。

中村&照井:ハハハハハハハ。

●でも、今までは答を絞り出していた。

浅井:だから俺ん達もこなすだけって形になっちゃうんだわ。そうなると、つまんないんだわ。インタビュアーもこなす、俺ん達もこなす、そこに何にもないじゃん、温かいものが。こんなこと繰り返しとってええんかなと思って。で、メイクとか格好でもさ、写真ばっか撮るから「もう何でもいいや」ってなるじゃん。昔は1回の雑誌に「よーし、カッコ付けたるぞぉ〜」って思ってたのにさ、あんまり出すぎとるとどうでも良くなっちゃってさ。

中村:俺なんか今日メチャクチャどうでもいいじゃん、この格好(笑)。

浅井:だから、ちゃんと地に足付けて本当に音楽に専念してさ、ほんで自分に誇り持っとるプロのインタビュアーの取材だけ受けてさ、そこで自分達もインタビューに100パーセント応えるっていうのがいいかなぁと思う。日本は数やりすぎだと思う、俺は。世界にもそういう人はいるかもしれないから、分かんないけど。

●音楽がメインではなくなっている感覚って、今あるんですか。

浅井:いいや、それはないと思うよ。俺達の場合は、あくまでも音楽がメインだから。

照井:まとめてやりゃあいいんだよ(笑)。写真もカッコいいのを撮って、インタビューも3通りぐらい録って、それをいろんな雑誌に出せばいい。だって、毎日毎日撮影やっとるとさ、顔がむくんどるときもあるからさ、そんなんマイナスじゃん?

●あとは音楽に専念したいと?

照井:専念したいよ。だって昼から夕方まで取材があってさ、それから帰ってやるったって、夜中ぐらいまでじゃん。やっぱり音楽っていうものに、腰すえてやりたいもん。

浅井:でも、これがまたインタビューとか全然なくなっちゃったら、「たまにはインタビューやろうよ」ってなるかもしれんけどね(笑)。「何か、寂しいなぁ」とか言って(笑)…かもねってことだけどね。

●基本的には自分達のことが知りたいなら、音楽を聴いてほしいという。

浅井:うん、っていうか別にさらけ出さんでもいいと思うんだわ。謎めいとった方がいいと思うんだわ。俺ん達なんか全部出しちゃうからさぁ(笑)。別に全部出すのもいいんだけど、たまには謎めきたいじゃん。音楽だけがあって、写真が1枚もないとかさ。今、どういう感じなんだろうとかさ。それぐらいが俺ん達にはちょうどいいんだわ(笑)。



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