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List
1. ドブネズミ
2. パイナップルサンド
3. ガソリンの揺れ方
4. VIOLET FIZZ
5. 小さな恋のメロディー
6. HELL IN
7. SOON CRAZY
8. セッション
9. 幸せな人
10. スクラッチ
11. 彼女は死んだ
12. 赤いタンバリン
13. ぼくはヤンキー
14. SKUNK
15. PUNKY BAD HIP
encore
E1. 3104丁目のDANCE HALLに足を向けろ
E2. 胸がこわれそう
E3. ロメオ
E4. D.I.J.のピストル
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『1998 TOUR ROMEO’S
HEART〜ロメオの心臓〜』 1998.7.28
大阪厚生年金会館大ホール
突然暗転した場内。ステージを覆うスクリーンには車が一台映し出され、その向こうに見えた浅井健一から哀し気なギターの音色が放たれる。予定開演時刻直前に開場となったため、席に着いたばかりで場内アナウンスもまだ聞いていなかった観客へ、それはプロローグとしていきなり届いた。微熱を放つさりげない歌声とギターに重なる、照井利幸の切ないつぶやきのようなウッドベース。2人の演奏が心に染み渡るころ、中村達也の憂いを含んだドラムがそっと重なり、その深度はさらに強まっていく…。3本のライトに照らされ、寡黙に曲を奏でるスクリーンごしのメンバー。彼らが、飾りも偽りもないありのままであることを、その音楽から強烈に焼きつけた。
そんな1曲目「ドブネズミ」の余韻が冷めやらぬ中、ノリのいい激しいギターリフを合図にスクリーンが落ちると、鳴り狂うサイレン灯がステージを真紅に染め、「パイナップルサンド」が始まる。初っぱなから哀愁と静けさに満ちたナンバー、そして狂気あふれるスリリングなナンバーと、彼らが持つ両極の魅力に飲み込まれると、奇妙な錯覚を覚えた。何だろう、この感覚は? ……映画だ、映画を見ている感覚に似ている。目の前でリアルに展開されながらも、現実にはそこにない映画の世界に入り込んだような感覚。ステージの3人が奏でる音楽は、絵を描き、ストーリーを作って、その世界へと案内してくれるのだ。しかし案内人であって客引きではない彼らは、大手を広げて観客を迎え入れたりはしない。その代わりに拒むこともなく、この場所にしか存在しないはかなくも美しい世界をたん能させてくれる。
一気に駆け抜けた序盤に続いて、まさに地獄から忍び寄って来たような危うさを感じさせる「HELL
IN」、イントロのすさまじいギターカッティングが一瞬にして観客の意識をさらった「SOON
CRAZY」からセッションへ…。観客はだれもがその世界に入りこんだまま戻ってくる気配さえ見せず、このライブをレポートしている私はそんな観客の姿を描写したいとも思うのだが、今夜はとにかく余裕がない。ステージから目が離せないのだ。激しく暴れるライブではないが、ムダなものが一切なく、まるで首筋にかみそりをあてられているような、身動きさえできない緊張の張りつめた状態。しかし、足先から突き上がってくるリズム、溶け込ませてしまうサウンド、五感を刺激する歌声が一つになった3人が生む音楽は、ライブというより音楽会という言葉がふさわしい。そして、理屈も理由もないことは分かっているが、やはりその音に浸っていると、なぜ彼らだけがこの音楽を生み出せるのかが知りたくてたまらなくなる。純粋な愛情が痛いほどに伝わってくるその音は、彼らにしか作れないと確信するだけでは収まり切れない魅力にあふれているのだ。
重く這い回るウッドベースと、それに絡み付く浅井のボーカルだけで、水を打ったように静まり返った会場に響き渡った「スクラッチ」。アルバム『ロメオの心臓』でも、絶大なインパクトを持ったこの曲が、今夜のライブでも圧倒的な存在感を放っている。それは彼らの音楽が音圧だとか、音数だとかで観客を奮わせているのではなく、その世界で心を震わせているのだという事実をも見せつけてくれた。
威圧的なほどの切迫感が漂う「彼女は死んだ」から、観客の期待を一心に集めていた「赤いタンバリン」をへて、クライマックスが近いことをにおわせながら、減速を許さずに突き進んでいく3人。「PANKY
BAD
HIP」でのエンディング、そしてアンコールの4曲は激しく暴れることも可能な、ライブでおなじみのナンバーがそろったが、観客はそれまでの世界から完全に抜け切ることが難しいようで、内に充満した熱を発散させながらも、それらの楽曲を味わっているように見えた。
確かに今までのブランキー・ジェット・シティのライブで激しい楽曲を観客が心待ちにしているような印象、それはあった。もちろん今夜のライブでも完全に消え去っていたとは言えないし、曲に合わせて自分の感情をさらけ出す観客もいたにはいたが、そこにあった空気は全く違う。メンバーは自分達の静と動の魅力をどちらも余すことなく、ただブランキー・ジェット・シティの曲として伝えきり、完全に圧倒した。そして観客は、その世界を暴れられず楽しめない世界と受け止めるのではなく、ブランキー・ジェット・シティだけの世界として心底感じきったのだ。この関係は、また彼らのライブを大きく進歩させるに違いない。
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