ZEPPET STORE



”強い“。単純にそう思わずにはいられない楽曲がそろったマキシシングル「LOOP」がゼペット・ストアから届いた。無理矢理襲いかかってくるというよりも、真っすぐに訴えかけてくるような強さ。心に届いた瞬間に勇気がわいてきそうな強さ。それらは彼らの個性としてすっかり定着し、バンドは可能性の幅を無限にふくらませている。
 そんなますます目が離せないバンドになっていくゼペット・ストア。今回は、新たにギタリストを迎え4人となったメンバーに、現在の心境や新作に対する思いを聞いた。

●このインタビュー前に、メンバーが4人になるということを聞いたんですが、新ギタリストの赤羽根さんは昨年のライブのときからサポートメンバーでしたよね。こうして正式メンバーに決まったことにはどういう経緯があるんですか。

木村世治(Vo&G、以下木村):レコーディングをやってみてですね、「こいつはメンバーにしたいな」っていうのを実感できて。ライブやってるときっていうのは赤羽根流にアレンジしてるけれども、昔の曲をやってるわけで、彼がホントはどんなギターを弾くのかっていうのがちょっと分からないところもあったから、レコーディングですべてを見せてもらって、それから決めたっていう感じで。

●試されたわけですね(笑)。

赤羽根謙二(G、以下赤羽根):そうですね(笑)。

柳田英輝(Ds、以下柳田):屈辱だったよね。(全員笑)

●その中で一緒にやれるなと思ったポイントというと?

木村:基本的にまず人を見たっていうか(笑)。バンドでやってる上で一番大切なところってもちろんプレイもそうなんですけど、人間的なところが重要だと思うんですよね。その辺がやっぱりプレイに出ると思うし、そういう人となりをじっくり観察しながらツアーを回れたのがすごく良くて。

●赤羽根さん自身は実際にやってみて、ゼペットに対してどんな印象を持ちましたか。

赤羽根:すごいやりやすいバンドなんですよね。規制とか全然なくて「自由に弾いてくれ」っていう感じだったんで。

柳田:でも今までのギターはガレージ色が強くて、それとはタイプが違ったんでかなり葛藤してましたよ。どっちかっていうと、70年代のハードロックっていうか、そっち系だから…。

●でも最初からそういうタイプのギタリストだと知ってたんですよね。

中村雄一(B、以下中村):知ってましたよ。でも前と同じタイプのギターを入れるつもりもなかったし、前のスタイルを保とうとは全然思わなかったから。だから新しくメンバーを迎えるんであれば、その人を100パーセント出してほしかったし、逆にこっちから何も言わずに、その人なりのプレイで応えてほしかったっていうのがありますね。

●4人でやるというのはやっぱり大きいですか。

柳田:大きいです。やっぱりギターバンドなんで、ギター抜きでやってきて…その穴は結構大きかったんですよ。でもそのおかげで逆に、個人個人がもうちょっとしっかりしなくちゃってすごい意識したし。

中村:だから逆にメンバーが1人抜けたことによって、バンドを意識しましたよね。今までって個人個人がいいものを出せば、それが混ざり合って結果的にバンドとしてカッコ良くなるんじゃないかって思ってたんですけども、それをもっとカッコ良くするにはどうすればいいのか、プレイヤーとしてどこまでバンドにできるのかって。チームのための個人であり個人のためのチームっていうか。

●これだけメンバーの期待が集まってるのは感じました?

赤羽根:感じましたね、プレッシャーもありましたし(笑)。

柳田:でも、「自由にやって!」って言われるほど、逆に彼は抑制されるんですよね(笑)。だからホントだったらある程度「こういうふうにやって」とか言った方が、彼は精神的に楽だったと思うんですけど。

中村:それに後から入ってくるのは、大変ですよね。

柳田:結構かわいそうだったんですよ。やっぱり「なんだ、ギター変わっちゃったんだ」って言われるのがイヤだって。最初はサポートなんだから「関係ねえよ」ってやってくれればいいんだけど、「ちくしょう!」とか言ってて(笑)。でも、そこがポイント高かったんです。サポートでやってるにも関わらず、気持ち的にはメンバー以上に「しっかりと出さなきゃ、ダメになる」っていうのがあって。ある意味ハングリーさが出てたんですよ。

●昨年、「Don't ask me why」がリリースされたときも、すごくバンドとして強くなった印象があったんですが、そういう赤羽根さんからの刺激もあったんでしょうね。そのインタビューのときに、ゼペットは意外とマジメで(笑)、毎回自然に反省点を話し合ってから次へ向かうと言ってましたけど、今回のマキシシングル「LOOP」を作るにあたって話し合ったことはあったんですか。

中村:今まで混とんとしてたっていうイメージがバンドの中にあって、それをもっとクリアにっていうか、もっと開放的に力強いものにしていこうっていう。曲がどうとかいうんじゃなくて、トータル的にね。

●それはきちんと新作「LOOP」に反映されていますよね。でも、具体的にどういうことをやっていったんですか。

柳田:『Cue』(1stアルバム)を作ったころまでは、「感じたことをそのままどう形づけるか」っていう程度の意識で結構感覚的にやってたんですよね。だからほとんど右脳で作ってたみたいな。だけどやっぱり今回の作業の過程で、伝える側としてただやりたいことをやって垂れ流しにするんじゃなくて、そのやりたいことをどうやったらちゃんと伝えることができるかを意識するようになった。やっぱりアイデアを集約させてシンプルにしないとうまく伝わらないし、アイデアを詰め込むだけ詰め込みましたって言うんじゃ、さっき言ったみたいに混とんとした、漠然としたものになっちゃうんですよ。だからおのおのが出したい様々なアイデアを自分の中でまとめて具体的にして、うまく提示できるよう意識しましたね。そしてさらにゼペットとしてどういうものをどう伝えようってところまで考えました。ただ、ちょっと抽象的なところも織り混ぜてね。やっぱり抽象的で感覚的な部分はなくしたくないんですよ。そこも大事なところだと思うし。だから今後はもっとそういうことを、バランスとってやっていけたらと思います。

●タイトル曲の「LOOP」はシンプルですが、音とか声の持つ存在感はしっかりとあって、薄っぺらさは感じさせませんね。

木村:僕の中では伝える道具としての一番は、ギターより歌なんですよね。その点で、「歌を力強くしたいな」っていうのが頭にあっての作曲作業だったんですよ。ずっとゼペットってメロディーも楽曲も同じようなリズムでいってたような気がするんですけど、そこをもうちょっとメロディーだけが抜けた感じにすると、より力強さが出るかなと思って。あとは自分の中のテンションを上げた。これもまた、かなり高いキーで歌ってるんですけど(笑)。

中村:過去最高だよね(笑)。

木村:何か自然にそうなっちゃうんですよね。やってることは変わってないんですけど、常に”歌“が頭にあるせいですかね。夜、静かに部屋で作ってるわりにはどんどん高いとこにいっちゃったりして(笑)。

●その曲をアレンジするときはどんなふうに?

中村:曲自体はそんなハードでもないけど、すごい力強いと思うんですよね。その中でいかに歌を出してあげるかを考えて。あと、リズム的にいえば、こういう8ビートのリズムってゼペットになかったんですよ。それはプロデューサーのキハラさん(キハラ龍太郎、SAKURAなどをプロデュース)にも言われて。だからこの曲は結構難しかったです(笑)。

赤羽根:音を1つ作るにしてもこういう曲の方がかなり難しいんですね。逆にハードな方がラク(笑)。あんまりハードにならなくて薄っぺらくもならない、その音域とかって難しいんですよね。

●でも、そこは自然にやったんですか。

柳田:いや、最初はメロディーに対していつも通り感覚的に乗せていくんですよ。そこからプロデューサーを立てる意味合いが出てくるんですけど、やっぱりうちらでやっていくと手クセみたいなものがあったりして、キハラさんが今までのゼペットの曲を聴いてゼペット的にはもうありきたりのアレンジを見つけてくれて、そういう手クセ的なものとは違うアプローチのアレンジへ導いてくれた。

中村:「ここはこうした方がもっと生きるよ」って言われて、「ああ」みたいな(笑)。自分達では感覚的にやってるから、第三者的な意見は「なるほど」って納得する部分が大きい。

●「LOOP」の作詞は柳田さんですが、『Cue』のときの柳田さんの詞は、すごく前向きで飛び出すんだみたいな詞が印象的だったんですよ。でも今回はもっと内側に入った感じの詞で、意外だったんですが。

柳田:『Cue』のときはバンドとしてもそういう気持ちだったんですよ。自分達ではやるべきことをやって、満足してるんだけれども、対外的にちょっと弱々しかったっていうか。そういった意味も含めて「自信を持っていこうよ」という気持ちで詞を書いたんです。あと、あのころはちょうど不況だったんで、そういう時代性もあって(笑)。今回も時代性は加味していて、明日に対して不安もなければ期待もないけど、やっぱり生きていかなくちゃいけない中で、より精神的に強くなってほしいっていうか。「なんとかなるか」ってやってきた人が「なんとかしなくちゃ」って自発的に気を入れてほしいっていう。やっぱり人間って基本的に不器用な生き物だと思うんです。だから自分達の音楽を伝えることも磨いていかないと理解してもらえないよっていうか、そういう気持ちも込めてます。ゼペットのサウンドって元気になるとか幸せな気持ちになるとか、hideさんは世ちゃん(木村)のメロディーに「天国から降ってきたメロディーだ」って言ってくれたりとかね。現実から離してあげるような空間を与えてあげられていると思うんですよ。だからこそその対比として、詞はもうちょっと現実に対してぶつかってる感じを書きたかったんです。

●メンバーのみなさんはどうですか、柳田さんの詞は。

中村:『Cue』のときより、リアリティーの部分を含めることによって、もっと説得力を持って、共感できる部分が増えた。今回の詞は、何度も何度も書き直したりとかしてたんですけど、結局「どうやったら伝えられるだろう」っていう作業なんですよ。でもそのおかげで、4曲共に今のバンドの状態をすごいうまく表せた。

木村:逆にすごくシンプルになってもその分力強いから、大丈夫なんですよね。

●シンプルにっていうのは詞においても考えたんですか。

木村:そうですね。わりと俺、比喩的な言葉をよく使いがちなんですけど、それじゃやっぱり伝わらない。「これはこういう意味なんだよ」って説明されて初めて「ああ」ってなるんでは、やっぱりダメなんですよね。すぐ「分かる、分かる」っていうふうになった方がいいと思うし、その辺でのやりとりは今回、柳田もそうですけど、ハマりました。

柳田:1つの作品を作るときに、いろんなアイデアが出てきちゃうんですよね。今しかできないことをそれに全部詰め込もうとしちゃうんです。書いているうちにあれも言いたいしこれも言いたいって、1つの詞の中にいろんなことを全部入れちゃう。すると、結局さっき言ってたみたいに混とんとしちゃって、何が言いたいのか分かんなくなるんですよ。だからそこを意識するように。最終的にシンプルになって、その曲を聴いたときに「あっ、すごい分かる」っていうのだったらいいかなって。

●こうしてゼペットには赤羽根さんが入り、アルバムではプロデューサーが2人もいるんですが、いろんな人と関わることはどういうふうに受けとめているんですか。

木村:やってみて結果がダメだったねっていうのはいいんですけど、やる前からすべてを拒否してしまうとつまんないじゃないですか。その辺の間口は広げておきたいなというのがあって。やっぱり今プロデュースしてもらっているキハラさんも朝本さん(朝本浩文、UAなどをプロデュース)も、ゼペットとしてはすごい意外な人選じゃないですか。でもやってみたことによって何かが変化するのであれば、それはそれでおもしろいよねっていう。それぐらいすごい前向きなところで進んでるんで。

中村:ある種裏返しじゃないですかね。もう、どうやったってカッコいいんだから、他の人が入ることによってもっとカッコ良くなればいいじゃんみたいな(笑)。

柳田:100パーセント決め込んで、「これで」っていくのもありなんですけど、そこをとりあえず自信にしといて、第三者が入ることによっていろいろ遊んでもらったり、おのおののキャラクター的なものを客観的に引き出してもらったりとか。そういうことも興味があるからいろいろやってみたいんですよね。だからもうちょっと勉強はしたい。もっといいものを作っていきたいというところではまだまだ勉強不足だなと思うし、そういった意味も含めてプロデューサーっていうのを今、僕らは必要としてるんです。

●では最後に、期待される次のアルバムはどんな具合ですか。 

中村:この4曲がすごい手がかりっていうか、最初のヒントみたいな感じにはなると思うんですよね。いろんなタイプの曲もあると思うし、ホントいろんなカラーは楽しめるんじゃないかと思いますけどね。今までゼペット・ストアになかったものも感じてもらえるだろうし。だからすごい期待してもらってていいと思います。